デジタル庁を発足した行政、変革を目指す大企業、成長を急ぐスタートアップなどあらゆる組織がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めようと、デジタル人材を求めている。新卒学生に1000万円もの高額年収を提示する例も出てきている一方で、約100万人という希少な人材を奪い合うだけでは、日本全体のDXは加速しそうにない。「IT人材難の壁」を乗り越えるには、どうすればいいのだろうか。
クレジットカード大手のクレディセゾンの「インフォメーションセンター」。電話やメールで届くカードユーザーの問い合わせに対応する部署が数年来抱えていたシステム上の課題は、今年10月にようやく解決しようとしている。
クレディセゾンの提携カードは200を超え、関連マニュアルは2万ページにも及ぶ。問い合わせに正確に応えるには、マニュアルから該当箇所を検索する作業が必須となるが、検索性能が低いために時間がかかっていた。特に新たに配属された人材の習熟に手間がかかって業務効率が上げられずにいた。
2015年に改善を試みようと外部のITベンダーと交渉したが、費用対効果が合わずに凍結。20年に検討を再開したものの、改めて見積もりをとったベンダー2社の提案も十分なものではなかった。そこで、今年に入りベンダーの選定に加わっていた、19年3月に社内に新設した「テクノロジーセンター」のメンバーが、オープンソースの検索エンジンを使って2週間でマニュアルシステムを試作した。ベンダーの提案と遜色ない上に、コストも3分の1で済みそうだということが分かり、外部委託から一転「内製」に切り替えたのだ。
ここまでだと外部から登用したプロ人材が活躍したという話だが、クレディセゾンの取り組みが珍しいのはプロ人材の指揮の下、プログラミング未経験から研修を受けた「総合職」がエンジニアの卵として開発に参加している点だ。
「ズバズバ言われてもケロッとしているくらいの人が向いています」
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