チャットやオンライン会議システムなど様々なコミュニケーションツールが増える中、存在感が薄れがちな電話。「番号を押して音声で話す」という基本的な構造は変わらず、進化が止まった「枯れた技術」とみなされがちで、最近は「強引に相手の時間を奪う」と悪者にされる場面も少なくない。しかし、実はデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、その強みが一層強くなりつつある。
米ニューヨークで130年の歴史を誇るステーキハウス「ピーター・ルーガー・ステーキハウス」が10月14日、東京・恵比寿にオープンする。コロナ以降では珍しく座席数は約240と大型ながら、9月から受け付けを始めた予約は60日分が埋まり、90日分まで枠を広げる盛況ぶりだ。


予約方法はインターネットと電話だが、電話口で対応するのは、対話アプリLINEが提供するAI(人工知能)だ。AIが希望の日時や人数を聞き取り、自動で予約台帳システムに登録。予約客のLINEに確認の連絡が届く仕組みとなっている。
同店を運営するワンダーテーブル(東京・新宿)によると、コロナ前の同規模店だと電話予約は1日400件に及んだ。専用の回線を3~5本ほど引いて、担当オペレーターを置き、さらに子機をホールスタッフが取って対応するという態勢だった。ただでさえ外食業の人手不足が叫ばれる中、電話対応を減らそうとインターネット予約に注力してきたが、「結局、予約の半分は電話が残った」(竹原真理子マーケティング部部長)。
ところがコロナ禍で状況は変わった。電話をAIに任せると、顧客対応をおろそかにしているとみなされるのではないかという不安があったが、テクノロジーへの理解が広まったと導入に踏み切った。竹原氏は、「現状では席の予約が限界だが、個室の希望や記念日、英語の対応など幅を広げたい」と話す。
電話は「枯れた技術」なのか
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