9月29日、自民党総裁選の投開票が実施され、岸田文雄氏が決選投票で河野太郎氏を破り、第27代総裁に選ばれた。岸田氏は10月4日召集の臨時国会で第100代首相に指名される見通しだ。新型コロナウイルス対策や脱炭素など様々な課題がある中、諸外国と比べ遅れが指摘されているデジタルトランスフォーメーション(DX)も大きなテーマの1つ。9月1日には菅義偉首相が最重要政策の1つとしていたデジタル庁が発足した。総裁選前に岸田氏は高齢者と若者とのデジタルギャップを解消する取り組みを進めるとしていたが、新政権下でもぶれることなく、デジタル庁を起点に日本を変えることができるだろうか。ただ、同庁が発足した日に見たのは紙と汗だった。

 9月1日午後2時すぎ、東京・紀尾井町。デジタル庁が入居するビルのフロアゲート前に、報道陣がぽつぽつと集まり始めた。

 ヤフーが本社を置くビルだけに、受付前のスペースは広大だ。そんな広い受付も、テレビ局のカメラマンや音声担当者やスチルカメラマンらでごったがえし、受付に並ぶ列の先頭が分からなくなるほどだった。

 そんな混乱するゲート前に、デジタル庁の職員は「メディア受付」という紙を貼った大きなホワイトボードを持ち込み、報道陣にそれぞれ2枚の紙を手渡した。1枚はデジタル庁発足式の式次第、もう1枚は入館証だった。

デジタル庁発足式の会場に入る際、報道陣らは2枚の紙を渡された
デジタル庁発足式の会場に入る際、報道陣らは2枚の紙を渡された

 デジタル庁側の指示通りに、まるで遊園地のアトラクションにできる行列のごとくゲート前の広いスペースをつづら折りに並ぶ。カメラや脚立など重い機材を運ぶカメラマンからは汗が滴る。

 「こちらの紙のQRコードを、ゲートにかざしてください」。QRコードをかざしてゲートを通り、会見場へ着いたのは、紙を受け取ってから30分ほど経過していた。

 今回のデジタル庁の発足式では、事前に専用サイトに所属先やメールアドレスを入力していたため、スマホでQRコードの画像を受け取れると思っていた報道陣も少なくないだろう。だが、発足の日に目にしたものは紙。なかなか変えられない省庁の文化の根強さを痛感した。

続きを読む 2/2 紙さえあれば参加可能

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