こんにちは。フランス発の機械学習プラットフォーム、Dataiku(データイク)という会社で欧州企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援している宮崎です。日本でAI(人工知能)など先端技術の教育を展開するzero to one(仙台市)のリサーチ担当もしています。前職は日本経済新聞で記者でした。

 本連載も6回目となりました。今回と次回は、欧州のデータサイエンス教育の最新事情について話したいと思います! まずは私が通ったフランスのEcole PolytechniqueとHEC Parisのデータサイエンス修士コースについて自分の体験談を交えて紹介していきます。私はここに2017年に入学し、理学修士号を19年に取得しました。同年からDataikuに勤務しています。

 私が通ったEcole PolytechniqueとHEC Parisは2016年から共同で「Master in Data Science for Business」という修士コースを提供しています。ダブルディグリーなので修了すると2校から修士号が1つずつもらえるお得なプログラムです。私が通っていた17~19年当時の授業料は2年間で3万7000ユーロでした。現在は4万2550ユーロまで値上がりしています。

 Ecole Polytechniqueは皇帝ナポレオンのもとで軍事アカデミーだった経緯から、今でもフランス軍事省の管轄にあります。ポアンカレ予想で有名なアンリ・ポアンカレが学び、フーリエ解析で知られるジョゼフ・フーリエが教鞭をとっていた大学です。HEC Parisはパリ商工会議所が設立し、MBA(経営学修士)コースには日本人学生も多く在籍しています。

 このカリキュラムの特徴は以下となります。

・エンジニア系もしくはビジネス系のバックグラウンドを持っている学生が対象
・「ビジネスも分かるデータサイエンティスト」を2年で育て上げる
・特定の業界・技術に特化せず、データサイエンスのスキルを広く学ぶ
・業界とのコネが強く、企業側の意向をくんでデザインされたカリキュラム
・企業とコラボした授業、セミナー、キャリアフォーラムが多い

カリキュラム

 この修士コースの最大の特徴は、エンジニア系のバックグラウンドを持っている学生とビジネス系のバックグラウンドを持っている学生を両方入学させる点です。最初の1カ月で前者はビジネスの基本、後者は数学・統計学の基本を超詰め込み講義で学び、全員が同じスタートラインに立った上で本格的にデータサイエンスの基礎から学びます。

 例えば私のクラスメートではEYなど大手会計事務所でアナリストをしていたビジネス系の人や、EDF(フランス電力)で風力発電所の機械エンジニアだった人などがいました。

 私が在籍していた当時の大まかなカリキュラムは以下の通りです(カッコ内は授業に協力してくれる企業)。

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続きを読む 2/3 フランスの理系教育はとにかく理論先行

この記事はシリーズ「元日経記者がパリでAIエンジニアになってみて」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。