高給な「機械学習エンジニア」

機械学習エンジニア

 従来、機械学習エンジニアはデータサイエンティストの業務内容のうち、機械学習モデルの組み立て部分のみを行うプロを指していました。アルゴリズムに関する高度な理解と、レベルの高いプログラミングスキルが求められていました。そのためビジネス畑から移ってくるケースも多々あるデータサイエンティストに比べ、機械学習エンジニアはもともとソフトウエアエンジニアだった人が就く場合が多いです。データサイエンスに関するプロジェクトの中核部分を担うため、給料も高く、どのような業界・産業にも横滑りできることが最大の強みです。

 近年では、データサイエンティストの守備範囲が広がった結果、機械学習エンジニアとの間でポジションに違いが見受けられなくなりつつあります。単純に「呼び方の違い」と思っていても問題ないでしょう。企業によっては、データサイエンティストというポジションをつくらず、機械学習エンジニアだけを採用している場合もあります。

必要なスキル:プログラミング、数学・統計学の知識
ツール:C、Python、Rを中心にプログラミング言語全般

 データエンジニア、データアナリスト、データサイエンティスト、機械学習エンジニアの役割の違いを作業工程のなかで表すと下のようなイメージになります。

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 最後に、こうした役割の違いは給与にどう反映されているのか見てみましょう。試しにパリとサンフランシスコのデータサイエンス関連職種の給与をLinkedInで調べてみました。いずれもベース給与の中央値での比較で、サンプル数が1000以下です。あくまで参考までにしてください。

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 サンフランシスコはやはりバカ高い水準ですね……。サンフランシスコの飛び抜けた給与水準はテック業界ではよく知られています(ただ生活費もバカ高い)。パリも決して低くはありませんが、サンフランシスコではどの職種でも日本円にして1000万円級プレーヤーです。中央値でこれなんですから驚きです。年間基本給はどちらの都市も機械学習エンジニアが最も高いです。とはいえ、ほかの3つの職種も全体的には高めの給料で、データサイエンスの世界に飛び込んでくる人が多い理由が垣間見えますね。

 それぞれの職種について、Junior Data Scientist、Senior Data Scientist、Lead Data Scientist、Head of Data Scienceといった階層があり、上に行くほど給与も高くなります。常に人手不足で人の出入りも激しいこの業界では、昇進が早く見込めるのも特徴です。企業によっては現場経験1年足らずでSeniorに、2〜3年でLead Data Scientistになれたりもします。

 いかがでしたでしょうか。これからデータサイエンスを勉強する人は自分の将来像についてポジションごとの仕事内容の違いや給与の違いを頭に入れておくと、キャリアの計画も立てやすくなるでしょう。

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この記事はシリーズ「元日経記者がパリでAIエンジニアになってみて」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。