企業と協力する枠組みが必要

 これを実現するにはインターンシップを学生にさせる仕組みを企業と共同でつくらなくてはなりません。

 オンライン教育プログラムの運営会社や大学側がすべきこととしては、以下が挙げられます。

・インターンシップを単位取得の必須事項として設ける
・インターンシップでの経験をリポートにすることで修士論文の代わりとする
・講義期間を短縮する代わりにインターンをカリキュラムのなかに組み込む

 また企業側も以下のような対応が必要でしょう。

・インターンシップを経験した学生の評価を上げる

 例えば、フランスでは企業側が「Internship Agreement」なるものを発行します。Internship Agreementにはプロジェクトの詳細な中身、監督責任者、労働時間、休暇日数、給与、社内食堂やレストランで使えるクーポンの有無、交通費の負担割合などが細かく書かれており、そうした諸条件に企業、学生、大学の3者がサインして初めてインターンシップが成立します。

 ここまで本格的な就業体験となると給料も発生します。フランスでインターンの学生がもらえる給料は企業によってまちまちですが、おおよそ月800~2300ユーロ(約10万~30万円)といったところでしょうか。私が一度リヨンのスタートアップ(従業員30人規模)からオファーをもらったときは月800ユーロ(約10万円)の提示でした。さすがに暮らしていけなかったので断りましたが、パリのスタートアップ(50人規模)からのオファーは月1200ユーロ(約15万円)でこちらに決めました。

 また、2年目のインターンシップは保険会社のAXAからオファーをもらい、月1900ユーロ(約25万円)でした。AmazonなどのGAFA企業になると非常に競争率が高く、インターンシップでも給料はさらに1.5~2倍に跳ね上がります。クラスメートのなかでも一番優秀な友達1~2人だけが採用されていました。

 日本ではインターンというと無給の場合が多いようですが、それは数日~数週間程度の短期インターンシップが主流で、労働というより社会勉強的な位置付けとみなされているからだと思います。また単純に就職活動中の学生と接点を持つためだけに企業が「インターンシップ」を銘打って数日間だけの就業体験を実施している場合もあります。

 企業が学生と接点を持つため、というインターンシップの位置付けは欧米でもその通りです。インターンシップを経験した学生は採用される確率が高くなります。しかし、学生側がデータサイエンティストなどの仕事内容を現場で一通り学ぶには、数カ月の期間は絶対に必要です。

社会人はインターンシップできるのか?

 働きながらオンラインで勉強している人にとって、インターンシップは時間的にも物理的にもハードルが高いでしょう。そのような場合はいきなり転職を考えず、まずは今働いている会社内でデータ分析のプロジェクトに参加できないか画策してみるのがいいと思います。企業側も、従業員のスキルアップのためにオンラインコースの受講料を支援したり、柔軟に部署の異動を認めたりすべきだと思います。逆に、現場経験のないまま、いきなり転職するのは「未経験」扱いになりオススメできません。

 今回は人材を育成するのにオンラインの教育プログラムの優位性やインターンシップの大切さなどを中心に書いてみました。読者のみなさんの参考になれば幸いです!

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この記事はシリーズ「元日経記者がパリでAIエンジニアになってみて」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。