海外では通用しない「我慢」という美徳

 日本では、子どものときから「我慢」することを教えられます。もっと大きくなってから、とか、会社などでももっと経験を積んでからなど、知らず知らずのうちに「耐えること」「我慢すること」が美徳のように教えられているようです。「若いくせに生意気だ」「自分の仕事が終わっていても、上司が帰らないうちはオフィスにいなくてはならない」というのもひとつの「我慢」「耐える」という不文律にもとづいているようです。

 海外でも日本人は与(くみ)しやすいと思われているところがあるようで、予約したタイプの部屋より下のクラスの部屋に通されたり、グループのほかのメンバーより待遇が悪かったりすることもあるようです。そういう場合は、「正当に怒る」ことが大切だと私は思います。

 我慢を重ねて内にこもったその怒りがある時爆発して大事になるよりも、小さなことでも明らかに差別されたとか、正当な待遇を受けていない場合は、断固権利を主張することが必要です。怒る、権利を主張するのにはエネルギーが必要ですが、日本でよく見られる「我慢」「耐える」という美徳は海外では通用しないと考えておいたほうがいいです。

「ダメ元でいろいろ頼む」「ダメなものはダメと断る」

 相手の間違いらしいとわかっていても、英語で交渉しなくてはならないので、気が重い時も少なくありません。しかし、日本人や女性は与しやすいと思われていることもあり、また、一度そうした弱みを見せると、相手がどんどんつけあがって次々要求や難題をふっかけてくることもあるので、そこはしっかり自分の主張をすることが大切です。

 私がこうした交渉や喧嘩(けんか)をする場合は、十分に睡眠をとり、エネルギーレベルを高くしておいて、自信を持って自分の立場をクールに、しかし力強く主張します。それでももめる場合は、「いい加減にしてほしい、ばかばかしい、ひどい」などかなり強い言葉を使いますが(そうしないと私の気持ちが済まないので)、こちらの希望を通すことが目的なので、それを忘れないようにして「喧嘩」します。

 私の知る限り、ダメで元々(ダメ元)と思っていろいろ要望を出してくる人が海外では多いのですが、相手の主張がおかしい時はロジカルにおかしい、と指摘すると、あっという間に要望を取り下げることが多いです。このあたりは、希望を入れてもらえそうだと思った時だけ要望する日本とはだいぶ状況が違うように感じます。

 頼む側になったら、ダメ元でいろいろ聞いたり頼んだりしてみる、頼まれる側になったら、ダメなものはダメときちんと断る、というのがよいでしょう(実際、逆の対応をしている人をときどき見かけるので)。

 いずれの場合もカリカリしないで、余裕をもって事に当たるのがコツです。

海外では「ダメで元々」と頼んでみたり、聞いてみたりすると、リクエストがかなえられることも(写真:Antonio Guillem/Shutterstock)
海外では「ダメで元々」と頼んでみたり、聞いてみたりすると、リクエストがかなえられることも(写真:Antonio Guillem/Shutterstock)
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