以前、こんなことがありました。事前に座席を指定していたのですが(ビジネスクラスの一番前の通路側で、私が好きな席)、チェックインをしようとしたところ、航空会社の人に「席を替わっていただけませんか」と聞かれたのです。どこに移るのか聞くと、同じ列の反対側(左ではなく、右側のビジネスクラス一番前の通路側)だったので、「いいですよ」と返事をしました。

 「ところで、なぜ?」と聞いたところ、「赤ちゃんをつれた乗客がいて、あなたが予約していた席の前に、赤ちゃんを寝かす台があるから(反対側にはついていない)」と言われました。「何だ、そういうことか」と思ったのですが、ついでに、「替えるなら、ファーストクラスに替えてくれてもいいのだけど(笑)」と言ってみました。ほんの冗談のつもりだったので、その時は、スタッフと笑っただけで終わり、すっかり忘れていました。

 しかし、ゲートに行ったら、ファーストクラスの搭乗券が待っていたのです!

 あれ! という感じで搭乗券を受け取り、「とりあえず言ってみるものだなあ」と実感したのでした。こんなことがよく起こるとは思えないのですが、気軽に冗談っぽく言ってみることが思いがけない幸運につながるかもしれません。長距離のフライトでは、さすがにファーストクラスのほうが格段に快適ですから。

相手のミスには我慢せず断固自分の権利を主張する

 一方、ちゃんと予約しておいたのに予約が入っていないと言われたり、ホテルなどで、頼んでいたよりも低クラス(景色が見えない、暗いなど)の部屋に通されたりすることもあります。そういう時は、断固自分の権利を主張しなくてはなりません。

 2014年の夏、カナダのバンクーバーで車を借りた時のことです。前もって予約しておいたのですが、カウンターに行ったら「そんな予約は入ってない」と言われました。予約確認の番号が入っているメールをプリントアウトしていたので、「ここにある!」と二、三度押し問答した結果、レンタカー会社のスタッフが間違っていて、コンピューターに記録があることがわかりました。自分の間違いなのに、相手は「しれっ」としていましたが、私は車が借りられればそれでよいので、さっと手続きを済ませて目的地に向かいました。

 長いフライトの後でかなり疲れていたので、イライラしたり腹が立ったりしましたが、そういう時はヒステリックになったり、どなったりしないで、クールに、しかし断固権利を主張するのがコツです。

 あとで別のレンタカー・オフィスでその話をしたら、車の台数が足りないので、そう言うこともある、そう言ってみてお客様の対応を見る(あわよくば車を貸さなくてよくなるように!)と聞きました。これにはかなり愕然(がくぜん)としましたが。

次ページ 海外では通用しない「我慢」という美徳