政府が9月1日に設置したデジタル庁の事務方トップとなる「デジタル監」に一橋大名誉教授の石倉洋子氏が起用された。石倉氏は日本人女性として初めて米ハーバード大大学院で経営学博士を取得し、経営戦略などを専門としている。近年では、グローバル人材の育成に力を注いでいる石倉氏だが、どのようなことを心掛け、習慣としてきたのだろうか。
 本稿では、石倉氏がダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)などで交流を持った、世界のビジネスパーソンや研究者から得たヒントを、著書『世界で活躍する人の小さな習慣』(日経ビジネス人文庫)より、一部抜粋、編集し紹介します。

「おもてなし」は万能ではない

 気軽にコミュニケーションを取る、通りすがりの人とでも会話を楽しむ、というセンスや、肩に力が入らないちょっとしたユーモア、そして知らないことは何でも聞いてしまうという姿勢が、世界で活動するには重要です。

 日本では周囲がいろいろ察してくれて、あえて頼まなくても物事が進むことがよくあるし、いろいろ質問することは良い印象を持たれないこともあるようです。しかし、海外では文化も生活習慣も違う人が多いので、困った時やわからない時でも自分から質問しないと、わかっているものと思われて、そのまま物事が進んでしまいます。誰も面倒をみてくれないのです。

 日本のきめの細かい対応は最近、「おもてなし」として世界で有名になってきたのだから、相手の気持ちをいろいろ察してやってくれるほうがよいのではないか、という考え方もあります。ですが、いろいろな人がいる場合、それぞれどんなことを求めているのかを推測することは難しいのが現実です。

 「おもてなし」が有効な場合とそうでない場合がある、と考えてもよいと思いますし、それぞれが自立した大人であるから、その人の主体性や好み、意思決定に任せるという考え方もあるのではないでしょうか(実際、私はあまりきめ細かいサービスより、そっとしておいてほしい、自分で決めるから、と思うことがよくあります)。

続きを読む 2/4 自分でいろいろ経験して学ぶ以外に方法はない

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