インフレに警戒感を示す中国の周小川・人民銀行前総裁(写真=ロイター/アフロ)
インフレに警戒感を示す中国の周小川・人民銀行前総裁(写真=ロイター/アフロ)

 1991年から2011年にかけて、高水準の設備投資支出が中国の持続的なインフレを促進した際、中国当局はすぐにインフレのコントロールに動いた。その甲斐あって、2011年に5.4%だった中国のCPI(消費者物価指数)はここ10年間、2%を上回ることはほとんどなかった。主要国政府のほとんどが物価安定に苦慮している今、中国は今年から来年にかけてインフレ抑制を継続できるのだろうか?

 この問いに答えるには、中国が過去10年間、どのようにしてインフレ抑制に成功してきたかを考えてみる必要がある。特に注目すべきなのは、政府が新たな大規模な財政・金融刺激策を控えると同時に、中央銀行が自律性を高めたおかげで、下からの投資プロジェクトに応じる形での貨幣の創出と融資拡大が止まったことだ。

 2015年以降、中国の中央銀行は債務比率が過剰な部門を支援するために融資配分を調整するなど、慎重な姿勢をとってきた。過去にGDP(国内総生産)の急成長をけん引してきた環境汚染産業と不動産部門は、金融抑圧に直面した。中央政府は同時に、安定した雇用の増加に対応できるよう、最低限の成長率を容認してきた。

 今の中国政府は、まさにこの(成長率に対する)許容度を試されている。特に深圳(シンセン)と上海での新型コロナウイルス大流行に伴うロックダウン(都市封鎖)は、中国経済に大きな打撃を与えた。2022年第2四半期の上海のGDPは、前年同期比で14%近く落ち込んだ。

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