水を運ぶ、自宅を破壊されたキーウの住人(写真=AFP/アフロ)
水を運ぶ、自宅を破壊されたキーウの住人(写真=AFP/アフロ)

 7月初め、スイスのルガノに40カ国以上から政府高官らが集まり、ウクライナの復興に向けた意欲的な計画への支援を誓い合った。ウクライナ復興会議は、戦後のウクライナに多大な資源が投入される可能性を示し、復興に向けた重要な一歩となった。

 しかしこの会議では、復興のために具体的にどうするのか、誰が資金を管理し、その使い道を決めるのか、といった重要な問題にはあまり光が当たらなかった。これらは念入りな検討が必要な難問であり、ウクライナの復興に多額の資金が投入される前に解決されるべき問題である。

 適切な計画を立てるには、以下に挙げるいくつかの要素の重要性を反映しなければならない。まず、復興のプロセスが中央集権型になるのか、地方分権型になるのかを決める必要がある。

 極端な中央集権型の事例には、生産の細部にまで口を出していた旧ソ連の政府機関、ゴスプラン(ソ連国家計画委員会)がある。旧ソ連の中央計画型の経済は長期的には失敗したが、短期的には様々な資源の動員が可能だった。しかし旧ソ連はこの短期的な利益と引き換えに、多くの非効率を抱える経済という高い代償を払うことになった。

 もう一方の極端な例は、個々の(地方政府の)コミットメントを伴う完全な地方分権だ。例えば、ドイツのハンブルク州政府は最近、ウクライナのキーウ(キエフ)に人道的支援を約束した。このようなアプローチでは、キーウは自らが援助を要請しているため、得られた支援を大切に取り扱う可能性が高い。ウクライナが復興をより「自分ごと」として捉え、能動的に動く意識を高めるのに有効だろう。

 一方で地方分権は、作業の重複や調整不足を招く可能性も持つ。関連するアプローチには、開発銀行が新興国で行っているようなプロジェクトを中心に復興を進めるという方法がある。これは、例えばある地域の電力不足といった特定のニーズに対応する上では有効なモデルである。しかし、一国の復興にはあまり適していない。2003年以降のアフガニスタンやイラクの復興計画の失敗は、援助国と被援助国が復興計画に関して必ず協力、調整し合わなければならないことを示唆している。

 また、復興への道筋も明確にする必要がある。このプロセスには何年もかかるので、複数年にわたる計画を立てることが重要だ。第2次世界大戦後、欧州で作られたマーシャルプランは複数年にわたるよう設計され、4年間継続された後、戦後の欧州の急成長の基礎をつくったとしばしば評価されてきた。

 しかし、マーシャルプランが実行されるまでには終戦から3年の時間がかかった。同時期に新設された国連も欧州に対して大々的に支援したが、国連はマーシャルプランとは違って計画期間が不明確であったため、欧州各国政府は継続的な援助を期待できなかった。

復興とEU加盟はセット

 ウクライナが今回の戦争にまつわる復興支援に向けた資金援助を受けたことは、経済支援に伴う危険性も示している。ロシアに対抗するという当面の圧力からウクライナが解放されれば、同国や欧米の政治家が優先順位を変える可能性もある。そのような事態を回避するためには、政治的喧騒(けんそう)から独立した安定的なテクノクラート(専門家)組織が、復興計画の立案と実行を監督することが必要だ。

 この点では、欧州連合(EU)加盟候補国としてのウクライナの立場が役立つはずである。私たちは、ウクライナ復興とEU加盟はセットであるべきだと考える。同国の復興には物理的なインフラの再建だけでなく、制度や社会基盤の徹底した近代化も必要だ。ウクライナがEU加盟を熱望していることはこうした変化への強い原動力となり、既得権益に打ち勝つのに役立つはずだ。

 数々の革命を経てきたウクライナの波瀾万丈(はらんばんじょう)な歴史を鑑みれば、同国のEU加盟は一層重要性を増す。1991年の独立以来、ウクライナが完了した国際通貨基金(IMF)の支援プログラムは1回のみだ。他の十数回は、同国が支援に関する条件を満たせなかったため打ち切られた。今後のウクライナの経済成長の大部分は外国直接投資に頼ることになり、資金を得られるかどうかは、ウクライナが法の支配やその他のEU基準を順守できるかどうかにかかっている。

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