コリンズ:今、パーパスという言葉が流行しているが、ここでジェリー・ポラスとともに30年前に発した警句を改めて投げかけたい。
「パーパスは利益を増やすための手段だと思っているのなら、大きな誤解である」と。
会社は利益、キャッシュフローを十分に上げなければならない。それは両者にパーパスを達成するための活動の燃料になる役割があるからだ。要するに、利益のためにパーパスがあるのではなく、パーパス実現のために利益があることを理解してほしい。
永続する会社を創ることに意義がある
著書の『ビジョナリー・カンパニー ZERO』は、主にスタートアップや中小企業の経営者を念頭に、偉大な企業への道筋を示した。30年前の初著作をアップデートした作品だが、この間の起業をめぐる環境変化をどう評価しているか。
コリンズ:プラス面として「プロフェッショナル・マネー」の登場が挙げられる。ベンチャーキャピタルという投資のプロが登場したことで、優れたアイデアを持つ会社を立ち上げ、迅速に規模を拡大していくことが容易になった。
一方それはマイナスの変化とも関わっている。私が憂慮しているのは「Build to Flip」(Flipは「放り出す」「転売」の意味)メンタリティの復活だ。「たっぷり資金を集めて会社を立ち上げ、さっさと売却してキャッシュアウトする」という姿勢だ。資金を集めて永続する会社を創ること、それも単に長く続くだけでなく、永続する価値のある会社を創ることに意義があるのだと改めて強調したい。
ネットフリックス創業者兼共同CEOも絶賛!
経営書の名著『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの著者、ジム・コリンズ氏がスタンフォード大学経営大学院で教えていた1992年に記した名著があった。『Beyond Entrepreneurship』だ。日本語への翻訳・出版はされずにいたが、ネットフリックス創業者兼共同CEOのリード・ヘイスティングス氏が起業家に「86ページ分を丸暗記しろ」と言い、自身も毎年読み返していた本だった。
そして今回、最新情報などを大幅に加筆して改訂したのが『ビジョナリー・カンパニー ZERO』だ。パーパス、ミッション、ビジョンの重要性、戦略の立て方、戦術の遂行の方法などを体系的に解説している。
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