「ハリネズミの法則」と「弾み車の法則」のセットで生き残る

『ビジョナリー・カンパニー』シリーズを通じて、あなたは永続する偉大な企業を築くための法則をいくつも提唱してきた。その1つが「ハリネズミの法則」で、「キツネはたくさんのことを知っているが、ハリネズミは大切なことを1つだけ知っている」という古代ギリシャの寓話(ぐうわ)に基づき、得意事業に専念する大切さを説いている。ただ今回の危機では、航空会社やホテルチェーンなど単一の事業に特化することの危険性が浮かび上がった。

コリンズ:誤解しないでほしいのは「ハリネズミの法則」は多角化を否定するものではないということだ。著書で記した「弾み車の法則」とセットで考えてほしい。

 まずハリネズミの法則は、①自分たちが心から情熱的になれること、②世界一になれること、③経済的な原動力になるものという3つの条件が重なる事業に、会社のリソースを集中させることを指す。

ハリネズミの法則 『ビジョナリー・カンパニー ZERO』p.268から
ハリネズミの法則 『ビジョナリー・カンパニー ZERO』p.268から
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 弾み車の法則はこうして見定めた事業を重い弾み車のようにひたすら押して回していくことだ。事業で得られた収益は、その事業の発展に再投資する。数回転ではなく、数百回、数万回と弾み車を回すことで成長のモメンタム(勢い)が付いてくる。魅力的な新規事業が出てきたからといって、弾み車を捨てて乗り換えるのは禁物だ。

アマゾンの弾み車 『ビジョナリー・カンパニー 弾み車の法則』p.9から
アマゾンの弾み車 『ビジョナリー・カンパニー 弾み車の法則』p.9から
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 ただ会社の歴史が長くなるなかで、ハリネズミの3条件を満たす事業が複数出てくるかもしれない。本業という弾み車を回し続けていると、そこから派生あるいは拡張するかたちで、新たな事業が出てくることがある。