外注先に丸投げではDXは進まない
システムの開発手法には、主にウオーターフォール型とアジャイル型の2つがあります。ウオーターフォール型は、要件を事前にしっかりと詰めてから設計し、それから開発に着手します。開発したシステムをテストして、出てきたバグ(プログラムに潜む誤り)を修正して、最終的にリリースするという手順です。多くのシステム開発会社では、今でもウオーターフォール型の開発支援が中心ではないでしょうか。
ウオーターフォール型は、要件やユーザーニーズにあまりブレがないような、金融機関などの基幹システムの開発に適しています。ただし、要件を詰めるだけで半年や1年かかるため、その間に世の中のニーズが変わったり、競合に追い抜かれたりする可能性があるのがデメリットです。
一方、アジャイル型のシステム開発は、必要最小限のプロダクトを短期間で開発して世に出し、ユーザーからのフィードバックによって改良を重ねていくものです。
まずは作って少しずつ検証しながらPDCA(計画、実行、評価、改善)を回し、臨機応変に変更を加えていけるメリットがあります。変化のスピードが速い業界に適した手法です。
システム開発を従来通り外注している企業は、ウオーターフォール型の開発スタイルがメインでしょう。この場合、一部を改修しようにも容易には変更できず、都度コストも時間もかかってしまうケースがほとんどです。顧客の声を反映させようにも、スピード感ある対応が難しいという欠点があります。
世の中の変化が激しい昨今、アジャイル開発手法を取り入れたチーム編成が求められています。しかし、アジャイル開発を成功させるためには、ビジネス側とエンジニア側が相互信頼の下、密に連携を取り合いながらプロダクト開発を進めていく必要があります。そのためには、企画からプロダクト開発までが連動した開発体制を社内に持ち、内製化することが理想です。
弊社も当初はソリューション開発を一部外注していましたが、それが競争力を弱めている原因であることが分かりました。以来、自社で企画から開発まで一気通貫で支援でき、クライアントの声をすぐに反映できる開発体制を整えています。
ちなみに「社内で開発体制を整える」といっても必ずしも全ての技術者を自社雇用する必要はありません。外部スタッフに常駐してもらい、あたかも自社の社員のように働いてもらう形態もあります。副業が広がっている今、このような雇用形態で開発体制を内製化していく動きは広がるでしょう。
DXも同様です。DXを実現するために必要な4職種はデジタルに知見を持つ、プロデューサー、マーケター、エンジニア、クリエーターです。こうした人材を社内で育成しないことにはDXは遅々として進みません。
デジタルホールディングスでは、DX開発支援に特化したアジャイル型の受託開発チームを立ち上げ、コンサルティング業務からシステム受託開発、新規事業開発までを一気通貫で提供できる体制を整えました。
現在では大手企業を中心に、40を超えるプロダクト開発の支援をしています。今後、DXに本格的に取り組む企業は、こうした体制を社内に作っていくことが求められるでしょう。
(この記事は、書籍『ZERO IMPACT ~あなたのビジネスが消える~』の一部を再構成したものです)
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