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 資本主義社会の下、経済成長一辺倒できた産業界。しかし、コロナで産業界がストップしたおかげで、自然は息を吹き返しました。世界の二酸化炭素(CO2)排出量は一気に減り、空気は澄み、水もきれいになりました。我々は皆、人類を豊かにするために仕事をしてきたはずです。

 にもかかわらず、仕事をしないほうが世界は豊かになるという現実にとまどう人もいるでしょう。

 このまま成長一辺倒の資本主義経済を続けて良いのでしょうか? 人類にとってプラスになるのでしょうか? はたして地球は耐えられるのでしょうか?

 一般的には、「人口増加と経済成長はリンクする」とされています。中国が経済大国になった最たる理由は、人口が約13億人と多いからです。他国とは比べものにならない巨大な市場を持っていることは、経済成長を続ける上で有利に働きます。

 一方、日本や欧州のGDP(国内総生産)が伸びない理由は人口が減少しているからです。モノやサービスを消費する人口が増えれば経済規模は拡大するし、人口が減れば経済規模は縮小します。当たり前のことです。

 しかし、このまま資本主義の下で経済成長一辺倒のままでいくとしたら、極端な話、永遠に人口を増やし続けなければならなくなります。地球ははたして持続できるのでしょうか? すでに78億人いる人類は2050年には97億人に達します。

 筆者は、デジタル産業革命によりこの「人口増加=経済成長」の常識は覆されると見ています。AI(人工知能)やロボティクスの活用により、人口を増やさずとも経済を維持、成長させられる社会が実現できるでしょう。そして、人口減少、少子高齢化といった課題先進国である日本こそ問題解決にいち早く取り組み、成果を出していく必要があります。

未解決の課題を知るためにベンチャーを見よう

 では、企業はどう対応していくべきなのでしょうか。これまで見てきたあらゆる産業のコストゼロ化が進む「ゼロ・インパクト」、そしてコロナを機に浮上したトレンドを考えると、何も手を打たなければ、企業として存続が難しくなる時代が必ず訪れます。

 具体的な対策を説明する前に、大前提として、日本企業はGAFA(米グーグル、米アマゾン・ドット・コム、米フェイスブック=現メタ、米アップル)をはじめとするプラットフォーム事業者の脅威を芯まで理解しておく必要があります。今後、業界そのものが浸食され、破壊され、再構築される可能性もあります。悠長に構えていては、業界ごと自社も消えゆくことになりかねません。

 情報収集を怠らず、デジタル産業革命でどのような未来へと変わろうとしているのか、事実をベースに予測する必要があります。これには一つ、いい方法があります。

 世界中では、次々と新たな起業家がベンチャーを興し、次なるイノベーションを起こそうと躍起になっています。ベンチャーの存在意義は課題の解決です。つまり、世の中にある様々な課題が解決されていないからこそ、彼ら彼女らは新たな挑戦に打って出ているのです。

 逆に考えれば、ベンチャーの動向をしっかりと押さえておくことで、どのような課題が解決されずに残されているのかを知ることができます。こうした事実を基に、自社の置かれている状況を再認識し、次なる打ち手を考えればいいのです。

 企業がまず着手しなければならないのは、トップのみならず、全社員のデジタルリテラシーを上げていくことです。

 これからの30年はデジタル産業革命に突入するのは確実。社員のデジタルリテラシーが向上することは、人材価値そのものを向上させることに直結します。つまり、デジタルリテラシー教育に投資する企業と優秀な人材が自然に集まる流れができるということです。

 マインドセットの変化、徹底した情報収集、全社員のデジタルリテラシー向上。次回からはこれらを前提として、デジタル産業革命に突入するこれからの時代を生き残るための3つの対策について説明したいと思います。

(この記事は、書籍『ZERO IMPACT ~あなたのビジネスが消える~』の一部を再構成したものです)

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