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 インターネットの力を信じ、突き進みました。しかし、当然ながら後悔したこともあれば、停滞期を迎えてしまったこともあります。

 競合から学んだことは、波に乗り続ける必要があるということです。インターネット広告領域では、競合が強敵だったゆえに、努力し続けなければならない環境に常にさらされていました。常に危機感を持っていられたという意味で、とても恵まれていたともいえます。

 サイバーエージェントは、創業から2年ほどたった2000年に上場しています。2000年といえば、ネットバブルの頂点のころです。上場時の時価総額は670億円以上、225億円の資金調達を実現しています。業界参入が遅かったサイバーエージェントに、上場のタイミングでは先を越されてしまいました。

 その後、ネットバブルが崩壊しました。2001年にセプテーニ、さらにその3年後の2004年には我々のオプトが上場しました。セプテーニの資金調達額は3.8億円、オプトの資金調達額は7.5億円でした。ネットバブル崩壊でサイバーエージェントも苦境に立ちますが、それでも当時赤字だったメディア事業に投資し続ける判断ができたのは、上場時に得た潤沢なキャッシュがあったからでしょう。

 資金調達の額で大きく差をつけられたことは、勝負していく上で大きなハンディキャップとなりましたし、後から参入した競合が時代の波に乗って、先に上場したという点で、正直、悔しい思いもありました。

 その後、2008年には私たちがインターネット広告代理店市場でシェア1位を獲得しますが、その後、停滞期に入ります。その間に、サイバーエージェントに引き離され、3番手だったセプテーニとの差は縮まってしまいました。

 インターネット業界では、次から次へと新しい波が訪れます。例えば、2006年ごろにはソーシャルゲームの波が沸き起こりました。当時の私たちは、波が来ることは分かっていても、門外漢だからといって参入しませんでした。

 しかし、競合のサイバーエージェントは波に乗って参入し、彼らのソーシャルゲーム事業は、のちに大きな収益の柱に育ちました。その後もシェアリングエコノミーや仮想通貨など、新しい波が次々起こりますが、とにかく波に乗ってチャレンジし続け、領域を広げている企業のほうが大きく伸びています。

 EC(電子商取引)から始まった楽天も、金融やスポーツなど、あらゆる領域に事業を広げることで経済圏をつくり上げています。我々は、事業領域を広げることに二の足を踏んでしまい、出遅れた苦い経験を持っています。だからこそ、波には乗り続けなければと思います。

 ただ、ソーシャルゲームへ参入しなかった理由をよくよく考えてみると、自身の中でどうしても社会的な存在意義を感じられなかったことにあります。ソーシャルゲーム運営企業の社長も含めて30人ほどで合宿をしたことがありますが、自分たちの子どもにゲームを与えて遊ばせるかという質問に対し、回答は真っ二つに分かれました。ゲーム会社の社長でも、自分の息子にはゲームをさせない人が半分もいる。ただ、もうかればいいのだろうかという違和感を覚えました。

 社会課題を解決すること、そして、社会的に意味があると実感できること。きれいごとと言われるかもしれませんが、経営者としてどうしても自身の情熱を駆り立てることはできませんでした。

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