10月にはDeNAで10年社長を務めた守安功氏を取締役COOとして招へいした。経緯を教えてほしい。
もともとDeNAの南場智子会長に紹介していただき、DeNA創業メンバーだった渡辺雅之氏に社外取締役として就任いただいた。こうした縁から、2021年3月ごろ守安氏にお会いした。
初対面だったが、まず感じたのは気さくな人だということ。相当な実績を出しているし、年齢もダブルスコア。にもかかわらず、フラットに話を聞いてくれた。リタイアされるのかと思っていたが、やりたいことがまだ残っている、そんな感じがした。
経営者として成長を急がなければ
その場で一緒に働いてほしいと伝えた。DeNAの経営から離れた後の選択はまだしていないようだった。その後、オフィスに来てもらい、ほかのメンバーに会ってもらったり、データを見てもらったりした。本質的な解決策を見つける力、戦略を立てる力、いずれもシャープに捉える人だという印象を受けた。タイミーはスタートアップがゆえに、当然リソースは限られている。こうした中で、何を選択し、何に集中していかなければならないかを理解していた。経営に加わってもらって、サポートしてもらうのがベストな選択だと判断した。
もともとエンジニアで、上場企業の社長としての知見もある。「働くを通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」をミッションとして掲げている以上、小さな規模ではインフラとはいえない。テクノロジー、戦略面の双方でサポートいただいて、よりよいサービスをつくりあげていきたい。
創業以来、がむしゃらに走り続けてきた。飲食業の人手不足を背景に業績を大幅に伸ばしていって、テレビCMを大々的に展開した。コロナ禍が直撃して大幅に売り上げを減らし、物流市場にフォーカスしてコロナ禍を乗り越えた。とにかく目の前のことに精いっぱいだった。
いま、これからどうしていくかを改めて考えられるフェーズに差し掛かっている。掲げたミッションを実現するために、企業として、人としてどこまで成長できるか。そのためにも、経験を持った人たちにジョインしてもらう。
守安氏は確かに能力、実績ともにすごい人だ。でも、すごい人と言ってはいけない立場にいるのが自分だ。代表権を持っている以上、自分がリードしていかなければならないし、守安氏にはあくまでもサポートとしての立場にいてもらわなければならない。
すべての会議において身が引き締まる思いだし、自身がもっと学ばなければと思うようになった。優れたアイデアに対しては機敏に取り入れなければという意識も生まれた。当たり前の話かもしれないが、守安氏に経営に参画してもらったことで、改めて経営者として成長を急がなければと認識した。
いい意味で危機感を覚えたと思う。
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