様々なビジネスの専門家から短時間でコンサルティングを受ける「スポットコンサルティング」。国内で先行するビザスクは2012年に創業。製品開発や海外事業の立ち上げといった経験を持つ16万人のアドバイザー(コンサルタント)を抱える。
21年8月には米国を中心にサービスを展開する同業のコールマン・リサーチ・グループを約1億200万ドル(112億円)で買収すると発表。買収するコールマンは、売上高がビザスクの3倍近くあり、「小が大を飲む」M&A(合併・買収)として話題を呼んだ。
新型コロナウイルス禍によって世界の分断がより大きくなった今、スポットコンサルでグローバル化を目指す真意について、ビザスクの端羽英子CEO(最高経営責任者)に聞いた。

ビザスクCEO。1978年生まれ。東京大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックスにて投資銀行業務、日本ロレアルにて予算立案・管理を経験し、米マサチューセッツ工科大(MIT)にてMBA(経営学修士)を取得。ユニゾン・キャピタルにてプライベートエクイティ(PE)投資に5年間携わった後、12年にビザスクを立ち上げる。(写真=的野 弘路)
コロナ禍の外出規制は、ビザスクが営むスポットコンサル領域にどのような影響をもたらしたか?
ビザスクの端羽英子CEO(以下、端羽氏):移動や人と会う自由が制限される一方で、企業は新たな領域への事業拡大を推し進めなければならない。こうした環境は、専門家の知見と企業をつなぐビジネスを展開するビザスクにとっては追い風となった。
とりわけ、「Zoom」などによるビデオ会議が一般化したことが大きい。これまでの習慣では、初めて会う人とのコミュニケーションはどうしても「対面」が一般的だった。まずはリアルで顔を合わせてお互いを知る。ただ、それがコロナ禍でできなくなった。
ビジネスにおいてビデオ会議が一般化し、初めて会う人と対面でなくてもきちんとコミュニケーションが取れるという意識が浸透した。すると、移動がなくなって対面よりも圧倒的に日程調整が楽になり、利用しやすい環境になった。電話会議とは違って相手の表情も見える。
緊急事態宣言が解除されて、リアルの対面が復活する動きも出ている。
端羽氏:スポットコンサルは1時間単位のサービスのため、Zoomなどのビデオ会議との相性がいい。リアルの良さが見直されてきたのは、(短時間では醸成しづらい)チームビルディングなど組織の内側が中心だ。ビザスクも現状、出社比率を50%近くまで戻してきている。
対面かオンラインか。それはなし遂げたい目的によって異なる。ただ、これまではすべてにおいて有無を言わさずコミュニケーションは対面だったが、そこにオンラインという選択肢がきちんと確立された。最適な方法を選べるようになったのは良い変化だったのでは。
企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)も進みつつある。求められる専門知識の領域に変化はあるか。
端羽氏:DXの推進で求められる知識は、デジタル領域だけではない。データはあるもののそれをどう生かせばいいのか分からない場合、データそのものの分析だけでなく、ユーザーや市場の声を聞いた上で分析したいというニーズが高まっている。これまで、ユーザーインタビューは新規事業が中心だったが、DXの推進を進めるためにはユーザーの声も聞かなければという意識が浸透しつつあるようだ。
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