2021年10月10日と11日、初の「デジタルの日」を迎える。デジタルの日は2020年に創設が決まったもので、デジタルを表す「0」と「1」で構成される両日に制定。この日をデジタルについて考える日と位置づけた。官民双方で様々なイベントやキャンペーンが予定されている。

 『日経ビジネスX』ではデジタルについて考えるこの日に合わせ、Zホールディングス代表取締役社長Co-CEOの川邊健太郎氏と、メルカリ代表取締役CEOの山田進太郎氏の対談を実施。ネット企業の2大トップに日本がデジタル化を進める上で抱えている課題、その解決策について語ってもらった。

<span class="fontBold">川邊健太郎(かわべ・けんたろう)</span><br>Zホールディングス代表取締役社長Co-CEO(共同最高経営責任者)。大学在学中に設立したベンチャーがヤフーと合併し、2000年にヤフーに入社。18年にヤフー社長CEO、ソフトバンク取締役に就任。21年LINEとの経営統合に伴い、現職。(写真=的野弘路)
川邊健太郎(かわべ・けんたろう)
Zホールディングス代表取締役社長Co-CEO(共同最高経営責任者)。大学在学中に設立したベンチャーがヤフーと合併し、2000年にヤフーに入社。18年にヤフー社長CEO、ソフトバンク取締役に就任。21年LINEとの経営統合に伴い、現職。(写真=的野弘路)
<span class="fontBold">山田進太郎(やまだ・しんたろう)</span><br>メルカリ代表取締役CEO(最高経営責任者)。早稲田大学在学時にインターンとして楽天オークションの立ち上げに携わる。卒業後、ウノウを設立し、2010年に米Zyngaに売却。13年にメルカリを創業し、18年に東証マザーズに上場した。(写真=的野弘路)
山田進太郎(やまだ・しんたろう)
メルカリ代表取締役CEO(最高経営責任者)。早稲田大学在学時にインターンとして楽天オークションの立ち上げに携わる。卒業後、ウノウを設立し、2010年に米Zyngaに売却。13年にメルカリを創業し、18年に東証マザーズに上場した。(写真=的野弘路)

山田進太郎メルカリ代表取締役CEO(以下、山田氏):2021年10月10日、11日は政府が定めた「デジタルの日」です。川邊さんはかなり音頭を取って動かれていましたが、どういう思いで進めてきたのでしょうか?

川邊健太郎Zホールディングス代表取締役社長Co-CEO(以下、川邊氏):言い出しっぺはメディアアーティストの落合陽一さんです。彼がデジタルの祝祭をやるべきだと主張してたんですね。

 逆に言うとデジタルがそこまで進んでいないということでもあるわけです。例えば、ヤフーも一時期、月末の金曜日はスマホかタブレットでしか仕事してはいけない日と定めていました。なかなかPCインターネットから脱却できていなかったからです。

 日本はデジタルが進んでいない。だからこそシンボリックな日が必要なんだと思います。社会が連携して「デジタルの日」を盛り上げ、そしていつの日かデジタルが当たり前になり、毎日がデジタルの日になればと思います。同時に、「デジタルの日」はいつかなくならなければならない存在かもしれません。

山田氏:これまで象徴的な日がなかったこともあって、インターネット企業同士が一斉に何かに取り組むということはあまりなかったように思います。今回、声をかけていただいて互いに特設ページで連携することになりました。特定の日に向けて準備を進めるというのは、なんだか忘れていた学園祭を思い出しますね。

川邊氏:中国はアリババグループが11月11日を独身の日と定めて、ほかのEC(電子商取引)サイトもこれに乗っかる形で象徴的な日となりました。日本の場合は国が定める形ですが、足並みがそろうというのは喜ばしいことだと思います。デジタルリテラシーの向上を図っていくことも大事ですし、忘れてはならないのはデジタルデバイド(情報格差)の問題です。誰もがデジタルの恩恵にあずかれるような社会を目指さなければならない。啓発活動に力を入れていきます。

ファクスに象徴される日本に潜む課題

(写真=的野弘路)
(写真=的野弘路)

川邊氏:この1年間、コロナ禍だったこともあり、山田さんも含めたインターネット企業の社長たちとチャットツールを使い、なぜ日本がデジタル後進国になってしまったのかという議論を重ねていました。

山田氏:我々の力不足だったかなと思います。もっとできることはあったはずだという思いが強い。使いやすいサービスをもっと提案できたのかもしれないという反省があります。

 以前、中国を訪れた際、すごい勢いでシェアサイクルが普及していくさまを見て驚きましたが、それ以上にびっくりしたのは高齢者の方も使っていたということです。

 日本だとそれこそスマホ決済サービスの「PayPay」は幅広い層に支持されていますが、誰もが使うというサービスをつくり出せていなかったんだと思います。つくる側、使う側、双方が現状維持バイアスにかかっている社会構造になっていることに起因していると思います。

川邊氏:我々の力不足という点はまさに同意です。デジタルサービスは大きく民間領域と行政領域に分けられます。自由度の高い民間では、それでもまだ様々なサービスが出てきたほうではないでしょうか。

 しかし、行政はそうはならなかった。IT基本法が施行されてから20年がたつのに、です。そういう意味で我々民間からの働きかけが足りなかったと痛感しています。今回、こうした反省を踏まえてデジタル庁発足に向けて提案を繰り返してきました。

 行政のデジタル化が進まなかった理由にもう少しフォーカスすると、「職員がデジタルを使っていない」「さぼっていた」の2つに集約されるかと思います。

続きを読む 2/3 デジタルのタッチポイントは民間に

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