2014年に上場を果たしたリクルートホールディングス。当時、約2兆円だった時価総額は、7年で6倍弱の11.8兆円と急成長を遂げた。企業価値を急速に引き上げている要因の一つに、12年に買収した人材検索サイトの米インディードの存在がある。

 テクノロジーによって企業と人材をマッチングするインディードは「人材業界のグーグル」と呼ばれている。インディードはいわば、リクルートの旧来型ビジネスを破壊しかねない存在。ゆえに、「諸刃の剣」を果敢に取り込みに行ったリクルートの買収は当時、広く耳目を集めた。

 リクルートの国内事業に目を向けると、旅行情報誌「じゃらん」に飲食店の「ホットペッパーグルメ」、ウエディング情報誌の「ゼクシィ」はコロナ禍の影響を直に受けている。先が読めない混沌とした中で、リクルートの北村吉弘社長は「10年周期の大転換」を掲げて変身に挑む。領域ごとに分かれていた国内の事業会社など7社を2021年4月に統合し、デジタル化が遅れる中堅・中小を核とした国内企業の業務支援を強化する。北村社長に国内リクルートの勝ち筋を聞く。

<span class="fontBold">北村吉弘(きたむら・よしひろ)氏</span> リクルート社長<br>1974年生まれ、47歳。97年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。12年リクルートライフスタイル執行役員。13年リクルートホールディングス執行役員兼リクルートライフスタイル社長に。15年リクルートホールディングス常務執行役員(現任)、16年リクルートテクノロジーズ社長を経て、18年からリクルート社長に。(写真=的野弘路)
北村吉弘(きたむら・よしひろ)氏 リクルート社長
1974年生まれ、47歳。97年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。12年リクルートライフスタイル執行役員。13年リクルートホールディングス執行役員兼リクルートライフスタイル社長に。15年リクルートホールディングス常務執行役員(現任)、16年リクルートテクノロジーズ社長を経て、18年からリクルート社長に。(写真=的野弘路)

コロナ禍でじゃらんやホットペッパーグルメ、ゼクシィなどの販促領域は厳しい状況にある。現状をどう見ているか。

北村吉弘・リクルート社長(以下、北村氏):領域によって厳しいのは確かだ。ただ、コロナ・ショックによってあらゆる産業が変革を余儀なくされた。これはリクルートにとってはチャンスにもなる。

 リクルートはこれまで、人材や販促支援などの領域で人と企業をつなぐマッチングビジネスを展開し、広告を主体とするビジネスモデルで伸びてきた。これに加えて、今は企業の業務支援サービスの強化も図っている。

 人材から販促領域への拡大、情報誌からネットへの転換など、リクルートはこれまで、およそ10年周期で変革を遂げてきた。今はまさに転換点だ。次の10年はメディアに加えて、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)にも注力する期間にしたい。

メディア事業全体で見ればそこまで業績が悪いわけではない。なぜ転換を急ぐのか。

北村氏:数年前から、顧客数と売り上げの相関関係を見てきた。顧客数はそこまで変わっていないが、売り上げは増えている。1社当たりの取引金額が増えていた。一見すると効率的に業績が良くなっているように見えるが、顧客数が増えていないというのは成熟期に入っている証しでもある。ここで転換すべきだと判断した。

 これまでもメディア事業を通じて、企業の「お困りごと」を解消するサービスを提供してきた。だが、人材のマッチングや販促など、効果が出ると顧客との関係が途切れる「パートタイムパートナー」のような付き合いも少なくなかった。SaaSソリューションに舵を切ることで「フルタイムパートナー」になれると考えている。

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