宇宙航空研究開発機構(JAXA)が13年ぶりに宇宙飛行士を募集中だ。3月4日に締め切る。日本は米国が主導する有人の月面探査「アルテミス計画」に参加しており、今回JAXAに採用されれば月に降り立てる可能性がある。

 アルテミス計画ではアポロ計画以来、半世紀ぶりとなる2025年以降の月面着陸を目標にしており、その先の有人火星探査まで視野に入れる。人類が月や火星に長期滞在する時代を見据えて、関連技術の研究開発に取り組むベンチャーの経営者がいる。折り紙の技術を使って宇宙で居住施設を建てようと奮闘している、OUTSENSE(アウトセンス、東京・大田)代表取締役CEO(最高経営責任者)の高橋鷹山氏だ。話を聞いた。

OUTSENSE代表取締役CEO(最高経営責任者)の高橋鷹山氏
OUTSENSE代表取締役CEO(最高経営責任者)の高橋鷹山氏

折り紙の技術を使って宇宙で居住施設を建てる技術を開発している。そもそも、なぜ、地球以外の星で人が暮らせるようにしないといけないのか。

OUTSENSE代表取締役の高橋鷹山CEO(以下、高橋氏):地球が維持できる人口には限界がある。新たな資源の獲得と、科学技術の進歩のために人類は宇宙へ進出しなければならない。ほかの星に定住し、新たな文化圏・経済圏を築き、人類は永続的に発展すべきではないだろうか。

 既に各国の研究者がさまざまな「折り技術」を開発している。この領域は折り紙工学と呼ばれ、宇宙関連でいえば人工衛星のアンテナや太陽光パネルを格納・展開するのに折り技術が使われている。

 この折り技術は宇宙居住施設にも有効だ。ロケットでの輸送コストは非常に高く、荷物を効率的に格納することが求められる。折り技術を使えば、居住施設をコンパクトに折りたたんで運べる。到着後、現地で展開すればよく、建設も容易だ。

 折り技術のほかにも、月面で採取した鉱物から作ったコンクリートで居住施設を建てる工法や、大きな3Dプリンターで建てる工法などがあるが、私たちは折り技術に特化する。

 我々は私の大学の恩師である東海大学の十亀昭人准教授が考案した「ソガメ折り」や、当社の石松慎太郎CTO(最高技術責任者)が考案した「イシマツ折り」を改良するなどして、宇宙居住施設を開発している。

月を足がかりに火星へ

どのようなスケジュールでほかの星に人が定住できようにする計画か。

高橋氏:人類の本格的な定住先としては火星が有力だろう。ただ地球から火星までは片道で何カ月もかかるので、技術の有効性を火星表面で検証するのに時間を要してしまう。そこで、まずは数日で到達できる月面で技術を確立してから火星を目指す。2030年代には月面に居住施設を建てられるよう、現在、ゼネコンが進める研究プロジェクトに参加している。

月面に立つOUTSENSEの建造物のイメージ図
月面に立つOUTSENSEの建造物のイメージ図