空港で水素エネルギーを“地産地消”

 インフラを活用したカーボンニュートラルは空港でも可能です。

 愛知県では大村秀章知事のカーボンニュートラル宣言に基づき中部国際空港島のカーボンニュートラル化を進めています。空港島の道路や敷地面に太陽光発電のパネルを組み込んだ舗装材を敷くなど、生み出した再生可能エネルギーの電力で水を電気分解して水素を生成します。CO2排出を抑えるために生成した水素を燃料に空港内で使用する車両の動力を水素燃料電池(FC)に置き換えるイメージです。

 再生可能エネルギーで製造した水素の有効活用は海外で先行しています。例えば、スコットランドのオークニー諸島は、風力発電などに由来する再生可能エネルギーの余剰電力で水素を製造・貯蔵する研究を進めてきました。現在は毎年約50トンの水素を製造して、フェリーでスコットランド本島に輸送しつつ、港湾施設や運送車両の動力源として使い始めています。水素の“地産地消”ですね。

 公共事業において河川事業と道路事業が占める割合は大きい。資材、工事、運用の段階でCO2削減が進めばカーボンニュートラルの実現に一歩近づきます。そのためには、入札時に「削減目標値を提示し評価する制度設計」と「CO2削減に要する費用の開示」を求める必要があります。増加コストが受益者から還元される仕組みが構築されるまでは、公共負担をせざるを得ないかもしれませんが、交通インフラでのカーボンニュートラル実現は、オークニー諸島のような相乗効果を生み出せるでしょう。

 ノーベル物理学賞を受賞したプリンストン大学の真鍋淑郎上席研究員が「地球温暖化を予測する地球気候モデル」で端緒を開いたように、現在の地球温暖化は人為起源の温暖化ガスが影響していることは既知となっています。将来にわたる気候変動をいかに抑えるかという点は、人類にとって切実な課題です。

 現在はまだ実験段階ですがCO2をはき出すばかりだった交通インフラがエネルギーを生成する拠点として生まれ変わり、20年後、30年後には脱炭素の旗手になっているかもしれません。日本は菅義偉政権時に、50年までに温暖化ガスの排出を全体としてゼロにする政策を表明しました。今の時代を生きる私たちは、全力でこの目標を実現する責務があります。

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