拡幅計画を進めるベトナムの高速道路。自動運転技術や電気自動車を活用して二酸化炭素の排出を大幅に削減する提案がなされている
拡幅計画を進めるベトナムの高速道路。自動運転技術や電気自動車を活用して二酸化炭素の排出を大幅に削減する提案がなされている

 日本社会は少子高齢化や激化する自然災害への対応に加え、脱炭素社会の実現が喫緊の課題になっています。一方で、技術の進化が加速しており、AI(人工知能)や自動運転などが一段と高性能になってきました。こうした社会課題や技術革新は道路、鉄道、空港、港湾など既存の交通インフラの姿を変え始めています。2040年、50年の交通インフラはどのような姿になっているのか。予言者ではないので未来像の断言はできませんが、移動や輸送の手段だった交通インフラには、新たな機能や役割が付加されると見ています。「カーボンニュートラルの実現」や「新しいエネルギーの生成」の場としての機能です。

 カーボンニュートラルは様々な企業や組織が手掛けていますが、中でも有望なのは「交通インフラ」におけるプロジェクトです。海外の社会・公共インフラにおけるPPP(Public Private Partnership:官民連携)プロジェクトでもインフラを活用したカーボンニュートラルは国際入札を提案する際の重要な要件となりつつあります。

 例えば、ベトナム政府はベトナム南部ドンナイ省で建設中の「ロンタイン国際空港」が25年に開業するのに併せて、ホーチミン市と同空港を結ぶ高速道路の拡幅計画(現行4車線を8車線に拡幅)を進めています。拡幅後の道路の運営や維持管理については、30年間のコンセッションとして民間コンソーシアムへ運営権の売却に向けた協議が進んでいます。ここで武器となるのが「高速道路を活用したカーボンニュートラル」です。

 我々は同プロジェクトに、拡幅した4車線の1つを自動運転車の専用車線にしたり、道路周辺のスマートシティーと連携したりする提案を準備しています。自動運転の技術は自動運転システムをベースに、3次元(3D)マップや道路に埋め込んだ磁気マーカーを活用し、自動運転車に搭載したセンサーやカメラなどの画像を組み合わせたり、道路に敷設した磁気マーカーを読み取ったりして位置を把握します。将来は走行中の電気自動車(EV)への充電も可能になるでしょう。

 3Dマップを用いた自動運転の実現には、大容量のデータを瞬時に送受信できる第5世代の通信規格「5G」が欠かせません。ただ、自動運転は高速道路という限られた空間で行うため、高速道路内は磁気マーカーが発する磁気信号を読み取る磁気センサーを装着したクルマが自動運転するシステムを活用します。一般道では3Dマップを用いた自動運転などを提案に盛り込み、走行する環境によってシステムを使い分けます。

 8車線のうちの1車線ではありますが、自動運転車にすれば、仮にガソリン車であっても安定した車間距離と速度が保てるため、大幅に燃費が向上します。電気自動車(EV)ならなおさらでしょう。将来的に自動運転専用レーンを増やせば、CO2排出量を抑えることができるでしょう。またインターチェンジなどに隣接したスマートシティーとEVの連携を図ることでスマートハウスなどでの節電と蓄電が実現できます。

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