訪日観光客は徐々に戻りつつある(写真:ロイター)
訪日観光客は徐々に戻りつつある(写真:ロイター)

 岸田文雄政権は10月11日、外国人観光客の入国に関する制限の撤廃を決めた。10月28日に発表した総合経済対策でも、岸田首相はインバウンド(訪日外国人)消費額の年間5兆円超を早期に達成すると明言している。

 2012年12月に第2次安倍晋三政権が発足して以来、インバウンドの数は右肩上がりで増加。12年には836万人だったが、新型コロナウイルス禍前の19年には3188万人に達した。インバウンド消費額も19年時点で約4.8兆円と大きく伸びた。

 新型コロナによってインバウンド需要は一時的に消失したが、19年の平均ドル円レートが109円だったことを考えれば、今日の円安環境下での訪日観光は、競争力が高いと言っていいだろう。政府が期待するように、インバウンド解禁は円安で痛めつけられている日本経済にとって、またコロナ禍で疲弊した地方経済にとって、景気浮揚の重要な一手になる。

 ただ、日本は既に人口減少社会に突入している。とりわけ地方への影響が大きい。集落では子供の声が消えつつあり、空き家や廃屋、閉じた商店などがひっそりとたたずむ光景も珍しくない。人口減少に歯止めがかからなければ、各地で道路や上下水道などのインフラを維持するのはやがて困難になるだろう。インバウンドの恩恵があるうちに、地方経済の底上げとインフラ整備に対する手を打つ必要がある。

 では、具体的に何をすべきなのだろうか。選択肢の一つが民間資金を活用した公共・社会インフラの整備だ。

 岸田政権が掲げる経済政策「新しい資本主義」では、実行計画の中に、民間資金を活用した公共・社会インフラ整備が盛り込まれている。この実行計画では、官民が連携して公共サービスを提供する仕組みであるPPP(Public Private Partnership:官民連携)やPFI(民間資金を活用した社会資本整備)の新たな事業目標が設定された。それも、22年度からの10年間で30兆円という莫大な規模である。

 過去のPPP/PFIと大きく異なる点は、ハード重視ではなく運営などのソフト面を重視したO&M(Operation&Management)のコンセッション方式に舵(かじ)を切っている点だ。PPPの一つである「BT(Build&Transfer)+コンセッション」がその一つと言える。これにより、地方自治体の財政負担の軽減や、長期的な運営を見据えた公共、民間、受益者の“三方良し”が実現できる。地方創生による地域経済の活性化も進むだろう。

 特に、初めの5年間を重点実行期間と位置付けるなど、首相肝煎りの「新しい資本主義」の柱の一つにPPPを位置付けていることが見て取れる。

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