(写真:PIXTA)
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 世界的な建築需要の高まりによって木材価格が高騰し、木材の調達が思うように進まない「ウッドショック」が続いている。

 ウッドショックについてはすでに様々なメディアが報道しているため、その原因に関する詳しい説明は省略する。今回考えるのは、日本の山林に放置されているスギなどの豊富な森林資源が、世界的な木材価格の高騰を経ても「なぜ市場に供給されないのか」という課題だ。日本の林業が抱える課題を「PPP」(パブリック・プライベート・パートナーシップの略。行政と民間などが連携して行政サービスの向上や資金の効率的な活用などを図る概念)によって「再産業化」できるか。その可能性について考えてみたい。

 なお、米国では2020年4月から21年4月にかけて約5倍に急騰した丸太価格は徐々に落ち着きを見せ始めているが、残された課題は多い。今回のウッドショックを機に、住宅メーカーも調達の多様化を模索し始めているため、以下の論考は引き続き有効だと考える。

 まず、豊富にある森林資源が活用されないのは、林業のサプライチェーンが崩壊しているためだ。国内市場の木材供給量は戦後復興期と経済成長期の需要急増によって、1973年に過去最高の1億1758万m3を記録した。この最初のピーク時には日本の製材工場で加工する木材製品の国内生産比率は約80%に達していた。2度目の山はバブル崩壊後に訪れる。95年の木材供給量は1億1192万m3となった。しかし、輸入丸太や輸入製材が増加したことで国内生産比率は半分以下に落ち込んだのだ。

 60年代半ばから70年代後半にかけて輸入丸太が増えたのは、旺盛な住宅需要を賄うだけの原木が国内の森林に育っていなかったためだ。戦前から戦中は軍需物資として、終戦後は復興資材として森林が伐採されたため、植林されたスギなどはまだ保育段階にあった。その後、原木輸入に併せて輸入材を製材する工場が国内で増えた。さらに、国産材の輸出先の国における環境保護運動の高まりや、円高・ドル安の進展もあり、80年代以降は輸入材の割合が増加。国内の製材工場は毎年、数百単位でその数を減らした。

 結果、日本の林業は競争力を失い、国産スギの素材価格も80年の3万9600円/m3を頂点に下落傾向が続いてきた。近年は1万3000円/m3前後で推移している。

続きを読む 2/3 集合住宅の普及も国産材衰退の一因

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