2022年1月に米ピッツバーグで橋が崩落。老朽化が原因とみられている(写真:UPI/アフロ)
2022年1月に米ピッツバーグで橋が崩落。老朽化が原因とみられている(写真:UPI/アフロ)

 2022年1月、米ペンシルベニア州ピッツバーグで橋が崩落する事故がありました。雪景色の中で、橋の中央部分が崩れて落下している姿には、日本でも差し迫った「インフラ老朽化」のリスクを感じざるを得ません。

 米国土木学会(ASCE)は毎年、国内のインフラ通信簿を公表しています。「A」を最高位に「B」「C」「D」「E」の5段階で評価しており、「F」がつくと落第です。最新の通信簿を見ると、崩落があった橋の評価は「C」。このほか、道路「D」、学校「D+」、公共交通「D-」、下水道「D+」と、多くのインフラで標準以下の評価が並んでいます。

 米国では1950年代から60年代にかけてインターステート・ハイウエーなどの大規模インフラの整備が進んだため、今日では老朽化が深刻な問題になっています。バイデン政権は2021年に1兆ドル(約131兆円)規模を投じるインフラ投資法を成立させましたが、米国土木学会は必要な投資額を2兆ドル(約262兆円)とみており、1兆ドルでは不足感があります。

 このように、米国の社会インフラは深刻な状況にありますが、日本も楽観視できるような状況ではありません。

 国土交通省によれば、23年に築50年以上となる社会インフラは、道路橋が約39%、トンネルが約27%、河川管理施設(水門など)が約42%、下水道管渠(かんきょ)が約8%、湾岸岸壁が約32%もあります。33年3月まで期間を延ばせば、道路橋の約63%、トンネルの約42%、河川管理施設(水門等)の約62%、下水道管渠の約21%、港湾岸壁の約58%が築50年を超えるのです。

 同様に、上水道の老朽化も進んでいます。厚生労働省のデータでは、40年の法定耐用年数を超えた水道管路の比率は18年度に17.6%。45年度には約60%に達すると予測しています。既に、老朽化した水道管を原因とする漏水・断水が全国で発生していることを考えれば、今後、大きな社会問題になることが確実です。

 公共インフラは地方自治体が管理している場合が多く、維持管理や更新は地方自治体に委ねられています。ただ、地方自治体の財政状況はどこも厳しい状態にあります。新型コロナウイルス禍でさらに疲弊している地域も少なくありません。では、国が支援してくれるのか。少子高齢化と経済停滞で国の財政が逼迫している状況を鑑みれば、支援は期待薄でしょう。

 その中で、公共インフラの更新をいかにして進めていくべきか。私は、民間資金の活用以外にはないと考えています。

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