運送業界に潜む課題に気づく

 まず、ユーザーにとっては運送会社を探すことが非常に困難です。多くの人にとってヤマト運輸や佐川急便のような超メジャーな企業を除けば、中・小規模の運送会社にはほとんどなじみがないことでしょう。家具など段ボール箱に入らない大きな荷物を送りたくても、どこに頼めばいいか分かりませんよね?

 それにリードタイムも長かった。本当は今日にでも来てほしいのに、当時は2週間前に要予約という会社が珍しくありませんでした。

 また、運び手である中・小規模の運送会社にとっては、ほとんどが下請け仕事です。上流の会社や仲間内から流れてくるものが中心で、ユーザーとつながる機会は全くといっていいほどありませんでした。ユーザーが運送会社を探せないように、彼らもまたユーザーと直接つながる術(すべ)を持っていませんでした。

 当時は赤帽が加盟店向けにマッチングをしていましたが、基本的に連絡手段は電話でした。そのほかにもインターネットの掲示板を利用したものなど、アナログなプラットフォームが主流でした。

 これをもっと手配しやすく、余計なリードタイムもなくユーザーと運び手をマッチングさせるプラットフォームがあれば、双方の課題も多重下請け構造も解消できると考えたのです。

 こうした現状を把握したうえで問題解決を図るために、PoC(Proof of Concept、概念実証)として、まずは小さなマッチングシステムを開発。約100社の運送会社に登録していただき、仕組みを試してもらいました。そして2015年8月にベータ版、同年12月に本番のリリースにこぎ着けることができたのです。

 ラクスルで蓄積したノウハウを活用してサービスの認知度を高めていけば、きっとハコベル事業も同じように成長するはず。我々はそう予測していました。

 ところが、現実はそれほど順調なものではありませんでした。これについては、次回で触れたいと思います。

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