
この記事をご覧いただいている読者の皆さんの中には、ラクスルを「ネット印刷事業の会社」と認識している方も多いことでしょう。もちろん印刷はラクスル全体の売上高の約7割を占める主力事業です。
しかし、実際は物流業、テレビ広告業でも事業を展開していますし、今秋は4つ目の事業となるコーポレートシステム部門向けのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)プラットフォーム「ジョーシス」をスタートしたばかりです。
今回はラクスルが初めて他事業展開に挑戦した、物流事業「ハコベル」立ち上げの経緯についてお話ししたいと思います。
過去の本連載で何度か触れていますが、ラクスルは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」という企業ビジョンを掲げています。
印刷で起業したラクスルの企業ビジョンに「印刷」という言葉をあえて使っていないのは、ラクスルのビジネスは仕組みを変えること、すなわち「旧態の産業システムを、デジタル化によってアップデートすること」であると創業当初から強く自覚していたからです。
その皮切りが印刷業界でしたが、そこで培ったノウハウを生かしていずれは他業界にも挑戦したいという思いはありました。
2009年に企業したラクスルが、第2の事業となる「ハコベル」を立ち上げたのは2015年12月のこと。会社を設立して6年、もう少し会社の成長を待ってもよかったのかもしれません。
では、なぜこのタイミングで新規事業を立ち上げることになったのか。これにはベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達という事情が大きく絡んでいます。
ラクスルではシリーズBのラウンド(資金調達)で2014年2月に15.5億円、シリーズCのラウンドで2015年2月に40億円の資金を調達しました。つまり、この2つの資金調達のすぐ後でハコベルが誕生したことになります。
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