(写真=的野弘路)
(写真=的野弘路)

 前回はDX(デジタルトランスフォーメーション)時代に求められる人材のコンピテンシー(行動特性)、そしてラクスルが国内でどのように採用活動を進めているかについて紹介しました。

 現在、ラクスルではベトナムとインドにも開発拠点を設けており、日本と同様、現地で積極的に採用活動を進めています。今回は、なぜ海外に進出してグローバルな開発体制を強化しようとしているのか、そのあたりについてお話ししたいと思います。

 ラクスルでは2020年6月にベトナム、同年10月にインドに開発拠点をつくりました。その理由はとてもシンプルで、国内でのエンジニア採用に限界があったからです。もちろん前回お話しした通り日本でも採用はできていますが、企業として今後の成長を考えると、「採用しきれていない」と感じています。

 しかもエンジニアを採用するためには、いま自社で働いているエンジニアの稼働時間のうち2~3割を採用、つまり選考のために割いてもらう必要があります。

 前回お話ししたワークサンプルテストのように、技術スキルや経験値を見るだけでなく、働き方、将来のキャリアの方向性、企業ビジョンやカルチャーへの共感など、採用活動で擦り合わせることは非常に多岐にわたっています。この時間を考慮すると、既に本業の開発に支障を来しているのです。

 さらに、日本はそもそもITエンジニアの数が足りていない上に、現在主流のインターネットサービスを支えているソフトウエアエンジニアの数が非常に少ないのです。そもそもの絶対数が限られている上に、スタートアップが競ってエンジニアを募集しています。大企業もDXを推進するためにエンジニアを欲している。現在の日本のエンジニア争奪戦は激しさを増しているのです。

 もちろんラクスルも日本での採用活動は継続していきます。しかし、事業スピードを考えると、今後は国内採用だけでイノベーションを生み続け、企業価値を高めていくことは非常に難しく、海外でも開発すべきだと判断したのです。

 グローバルでユニコーン(時価総額1000億円以上で未上場のスタートアップ企業)の企業数を調べてみました。予想通り米国と中国がダントツで多いものの、インドのユニコーンの数がかなり伸びてきていました。エンジニアの平均報酬を国別で比較してみても、インドはかなり有力な候補地だと思いました。

 そこでコンサルティング会社に入っていただき、ゼロからオフィスを立ち上げ、ヘッドの人材をインドで現地採用しました。現在はその彼が拠点長としてすべてのマネジメントを行っており、既に20人くらいの体制で開発を進めています。

 また、ベトナム拠点はもともとアウトソーシングで利用していたオフショアの開発拠点を、ラクスルのベトナムオフィスに進化させたという経緯があります。こちらはインドとは違って10人ほどのチームでスタートし、現在は30人くらいの組織に成長しました。ベトナム人をマネジメントした経験のある日本人を迎えて、全体のマネジメントを任せています。

 海外に開発拠点を置くことについて、私がよく聞かれるのが「コミュニケーションや組織運営がうまくいくのか?」という質問です。これについては、「ゼロから立ち上げるケースにおいては問題ない」と答えています。

 例えば、9月にローンチした新事業「ジョーシス」については、ほぼインドで開発を行っています(関連記事:“なんでもオリジナル”の罠)。チームには日本人のエンジニアが2人、あと十数人はインドオフィスのメンバーです。最初からこの体制でつくると決めて動き出せば、そのために何かを変える必要はないのです。

続きを読む 2/2 日本のリーダーは内向きになっていないか

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