(写真=的野弘路)
(写真=的野弘路)

 日本でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まない理由について、これまで様々な角度からお話ししてきました。今回は「DX時代に必要な人材像」をテーマに考えていきましょう。

 デジタル化によって急激に業務効率改善が進みつつある現在、ビジネスにイノベーションを起こして高い付加価値を生み出せる人は、どのようなコンピテンシー(行動特性)を備えているのでしょうか。また、自社で長期的に働いてもらうために、企業としてどのような施策を打つべきなのでしょうか。

最新技術への好奇心

 DX時代に必要な人材像といっても一言で定義できるものではなく、様々な素養が複合的に求められていると思います。

 まず、私が思いつくのはテクノロジーに対する好奇心が強いこと。先日ラクスルでは第4の事業「ジョーシス」を立ち上げましたが、自分が5年前に別事業を立ち上げたときの経験はもう通用しないと痛感しました。それほどに当時と現在はテクノロジーや事業のつくり方が変わってしまっていたのです。

 いまや新しいテクノロジーがものすごい勢いで生まれていますし、進化のスピードも急激に速まっています。

 もちろんすべてを専門的に理解しておく必要はありませんが、エンジニアではない人材でも、新しいテクノロジーに興味や関心、好奇心を持ち、常に知識をアップデートする必要があるでしょう。

課題発見能力とアジャイルな行動力

 また、アンテナを張るべき対象は技術の動向だけではありません。世界中の新しいビジネスモデルにもしっかりとアンテナを張っておく必要があります。みなさんはそれらを基に、自社のビジネスモデルやオペレーションの課題を見つけたり、よりよいものを創造したりするための改善点を探せますか? 企業内でDXを進めていくには、そんな課題を発見する能力も欠かせません。

 次に、見つけた課題はどのように解決していけばいいのでしょうか。この取り組み方も時代が進むにつれて変わってきました。

 みなさんもシステム開発用語で「ウォーターフォール型」と「アジャイル型」をいう言葉を聞いたことがあるかもしれません。前者は事前に綿密な計画を立て、仕様を細部まで決めたうえで設計に沿って工程ごとに開発を進める手法。後者は設計を綿密にしすぎず、大まかな仕様と設計を決めたら開発に着手し、開発単位も小さく分割して短期間で見直しをしながら進めていく手法です。

 現在の開発スタイルは、アジャイル型が主流になっていますが、ビジネスやDX導入についても同様のことが言えます。大きな規模でなく、小さなプロトタイプでシステムを作って社内で使ってみて、フィードバックを得てすぐに改善する。アジャイルに動いてPDCA(計画・実行・評価・改善)を高速で回せる行動力が、開発だけでなくビジネスサイドにも求められる時代なのです。

続きを読む 2/2 分析し、洞察し、想像する力

この記事はシリーズ「松本恭攝の「産業DXの要諦」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。