情シスの悩み、煩雑の極み

 ジョーシスのコンセプトは、ネーミングの由来でもある情報システム部門の改革です。会社に新しい社員が入社してから退職するまでの「入社」「在職中」「退職」の各フェーズで、情報システム部が行う支援業務(ハードウエアやソフトウエアの管理、問い合せ対応など)をオートメーション化し、業務コストを削減したりセキュリティーレベルを向上させたりする目的でこのサービスは開発されました。

 まず「入社」フェーズでは、コーポレートIT担当者は社員が業務を遂行できるよう、PCをはじめとするデバイスを用意しなければなりません。見積もりを取ってPCを購入し、業務ソフトや各種設定など、キッティングと呼ばれる個々の企業に最適化するための作業が必要になります。

 業務で使用するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)アカウントの発行や設定作業も必要です。また、これらを管理しているExcelリストも手作業で更新しなければならないでしょう。一般社員には見えないですが、情報システム部の作業は実に煩雑の極みです。

 デバイスの購入時からサポートする必要性を感じ、ジョーシスはToo(東京・港)と事業協力して、様々なデバイスを業界最安値レベルで提供できるようにしました。

 購入したPCに私たちが各社に合わせた設定でキッティングを施し、業務にSaaSのアカウント発行やセットアップも完了させてすぐに使える状態にしてオフィスやその社員の自宅まで届けます。担当者の作業は画面をクリックするだけで済みます。

 対応するハードウエアやソフトウエアは、サービスに付帯する資産台帳によって「誰が」「どのデバイスで」「どのSaaSを」「どれくらいの頻度で使っているか」までリアルタイムで一元管理されます。SaaSごとのアカウント数や、どのSaaSの使用頻度が低いかなど、管理が煩雑すぎてこれまでは注意を払ってこなかった部分も可視化されますので、長期的には不要なITコストの削減にも役立ちます。

 また、SmartHR(クラウドで人事・労務管理を行うSaaS)をはじめとする複数のSaaSとAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース:ソフトウエア同士をつなぐ仕様)で機能連携しています。そのため社員が人事異動で部署が変わって、使用するデバイスやSaaSに変更があっても、複雑な手続きが不要。異動先の部署では使わない端末を倉庫に戻し、新しいデバイスをその社員に設定済みで発送するなど、すべてを画面上の操作で完結できるのです。

アナログ業務から情シスを解放する

 このようにハードウエア、ソフトウエアを統合的に管理することで劇的に業務効率化を実感できるのが決算時の棚卸しです。監査法人からこれらの資産の利用状況を問われ、対応に何日も要している企業が非常に多い。ジョーシスの資産台帳があれば、棚卸しは1日でかつリモートで終了します。

 もう一つ、コーポレートIT業務の大きな負担となっているのが社員からの問い合わせです。これらは内容が多岐にわたるだけでなく、電話やメール、Slackなどバラバラなチャネルで寄せられるのです。こうしたバラバラに集まる問い合わせを一元化し、一つひとつの問い合わせに「いつ」「誰が」「どう答えたか」を管理できる機能を備えました。メールやSlackとも連携しており、問い合わせをチケット管理するので見落としもありませんし、ヘルプデスク業務のナレッジを蓄積する上でも非常に有効です。

 ここまではジョーシス導入で自動化することによる、業務効率化のお話でした。もう一つこのサービスで実現できるのが、セキュリティーレベルの向上です。例えば、Excelリストによるアナログな管理では、社員のSaaSアカウントがリアルタイムで管理できない、または放置されているケースもよくあります。しかし社員の退職後もアカウントが放置されると、機密情報の漏洩や顧客リストの流出を引き起こすリスクとなるだけでなく、アカウント数を最適化できないためコスト上昇にもつながります。いまやSaaSアカウントの迅速かつ確実な一元管理は、企業のセキュリティー対策として決してなおざりにできないことなのです。

 従業員数が50人以下の企業には、このサービスをしばらく無料で開放する予定です。このサービスを少しでも多くの企業に利用していただくことは、もちろん当社の事業成長にも必要なことです。

 しかし、私にはもう一つ別の狙いがあります。コーポレートIT業務でアナログ業務に忙殺されてきた方々に、本来の「考える業務」にフォーカスしてもらうことです。これは「会社全体の生産性を高めるためにどうDXを進めていくか」という本質的な課題と向き合うことであり、彼らの能力を発揮すべき本来の業務にほかなりません。そして日本中のコーポレートIT担当者がこの課題に取り組むことが、日本全体のDXを大きくけん引していくと信じているのです。

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