(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)

 多くの企業と同様、ラクスルでもコーポレートIT業務は外注に頼っていたことは前回、触れました。

 ところが大きな転機が訪れることになります。昨年から続いているコロナ禍です。ラクスルをご利用いただいている顧客の多くは飲食店やホテルでした。自粛の影響でこれらの業界の印刷需要が落ち込み、当社の売り上げも大幅に減少したのです。

 雇用を維持していくために、私たちは大胆なコスト削減に踏み切りました。それまで大きく費やしていたマーケティング予算を最小限に減らし、開発の外部委託費も契約期間が満了したら順次終了させるなど、削減範囲は事業の根幹に近いところまで対象にしたのです。社内ではこれを「筋肉質化プロジェクト」と称し、筋肉質でムダのない経営を目指して徹底的に取り組みました。最終的には約7~8割の外部コスト削減を実現し、数カ月で黒字化できました。

 ところが、です。このプロジェクトでも最後まで削れなかったのが、ITヘルプデスクの外注費でした。例えばPCが壊れたり、モバイル端末を紛失したりするといった不測の事態に迅速な対応ができなければ、会社は生産性やセキュリティー面で深刻な打撃を受けることになります。

 それほど重要性が高く、コストが非常に高額であるにもかかわらず、業務の生産性はそれほど高くない。これは事業として解決すべき非常に大きな課題でした。これをきっかけに、当社では新たなビジネスをスタートさせることにしたのです。

 これらの諸問題を自動化で解決すべく生まれたのが、印刷の「ラクスル」、物流の「ハコベル」、テレビ広告の「ノバセル」に続く第4の事業コーポレートITの「ジョーシス」でした。まさに今回のコロナ禍で私たちが直面した課題を基に生まれたDX(デジタルトランスフォーメーション)事業と言っていいでしょう。

続きを読む 2/2 情シスの悩み、煩雑の極み

この記事はシリーズ「松本恭攝の「産業DXの要諦」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。