
前回、前々回ではラクスルにとって最初の新事業となった物流事業「ハコベル」立ち上げの経緯についてお話ししました。今回は我々がその次に立ち上げた広告(テレビCM)事業「ノバセル」についてお話ししたいと思います。
みなさんは、以前この連載で「ラクスルはどのように異なる事業領域で課題を見つけているのか?」についてお話したことを覚えていらっしゃるでしょうか。
その際に事業のつくり方として2つのアプローチを紹介しました。1つはその業界が構造的に抱えている「負」を解消するために、バリューチェーンを最適化するというもの。これが印刷の「ラクスル」と物流の「ハコベル」の事業で実現してきたものです。
もう1つは、日々のビジネスの中で自分たちとお客様が同じ課題を抱えていたら、その課題解消をそのままビジネスにつなげること。この取り組みこそが「ノバセル」であり、これまでとは異なるアプローチでつくった事業でした。
「ノバセル」は既存の広告事業と比べていったい何が異なるビジネスなのか、事業形態と併せてもう少し詳しく説明していきましょう。
「ノバセル」事業の成り立ちを語る上で欠かせないのが、印刷事業「ラクスル」の急成長という成功体験です。これを支えたのは間違いなく広告戦略、もっとはっきり言えばテレビCMによる認知率の向上でした。広告費に投じた予算は2014年から5年間で累計約57億円とかなり大きなものでしたが、その費用対効果は非常に高く、売り上げは約20倍を達成、顧客の獲得効率は2倍に改善したのです。
このときテレビCMを軸としたマーケティング戦略で培ったノウハウをより多くのお客様に活用してほしいと考えた我々は、印刷事業「ラクスル」の顧客支援サービスの一環として、テレビCMサービスを2018年にスタートさせました。
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