インド事業について伺います。現在、インドにおける四輪車のシェアの約5割をスズキが占めています。今後はディフェンスに回りますか。それともさらに攻めていくのでしょうか。

 確かに、インドではスズキが5割のシェアを握っているといわれています。しかし、よくよく見ると約13億人の人口のうち3億人しか相手にしていないんです。だから、そこで5割をとってトップ企業だと言っても仕方がない。むしろ、これから対象となる10億人の人たちに向けて、生活の足である四輪車や二輪車を拡散していけるかが勝負だと感じています。

 この10億人は、単純に価格が下がったからといって車を手に入れられるわけではないと考えています。インドの生活水準そのものを向上していく取り組みから進めていかなくてはいけないし、その底上げのためには、車の販売だけを考えていればいいわけでもない。

 そもそも、13億人のうち3億人しか相手にできていなかったというのも、現場に入ってようやく見えてきたことなのです。この13億人すべてを相手にする体制をインドでしっかりつくり、インド市場をより太い柱にしていくことが直近の課題です。

 ここでもやはり「お客様が本当に必要としているのは何か」を足で探す「現場力」が求められています。インドと日本では車に求める機能が全然違うんです。

 例えば、街灯が一切ない真っ暗闇な街外れでの事故・故障時に頼れるEコール。これはエアバッグが展開するような大きな衝撃を検知すると自動でオペレーターに接続して状況を把握し、呼びかけに返事がないときでも、オペレーターが緊急車両の出動を要請する機能ですが、こうしたものの需要が非常に高い。

 そのほか、インド国内で頻発する車両盗難の際に役立つ車両トラッキングや、燃料をこっそり抜き取られて転売されるのを防ぐ燃料アラートなども欲しい機能のトップに来るんです。これらを聞くと、いかに現場力が大事か、お分かりいただけると思います。

 今は、マルチ・スズキ・インディアの力を使うことによって、インドの隅々まで入り込みながら、二輪車や四輪車を使ってどう生活をよくしていくべきかを模索しています。優秀なインド人が日本の本社で仕事をすることも必要だし、日本人がインドに行って仕事をすることも今後ますます増えるでしょう。企業として生き残っていくためには、総合力で戦えるようにしていかなきゃならないと考えています。

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