金融、エネルギー、コマース、エンターテインメントと、着々と事業領域を広げるKDDI。その躍進には、スタートアップをはじめとするパートナー企業とのシナジーを優先的に考える企業文化があるという。10→100のグロースを目指す事業における大企業の役割について、髙橋誠社長に話を聞いた。(構成:佐藤友美)

<span class="fontBold">髙橋誠(たかはし・まこと)</span><br />KDDI代表取締役社長。1961年、大津市生まれ。横浜国立大学工学部卒業後、84年京セラに入社。 同年第二電電企画(現・KDDI)に出向し、モバイルインターネットビジネスの開拓、新規事業開発に携わる。2018年4月から現職。(写真=竹井俊晴)
髙橋誠(たかはし・まこと)
KDDI代表取締役社長。1961年、大津市生まれ。横浜国立大学工学部卒業後、84年京セラに入社。 同年第二電電企画(現・KDDI)に出向し、モバイルインターネットビジネスの開拓、新規事業開発に携わる。2018年4月から現職。(写真=竹井俊晴)

ひたすらに通信強化への道を歩む王道のNTTグループ、投資に舵(かじ)を切ったソフトバンクグループと比較して、KDDIはスタートアップとの協業が強く、特徴ある経営をしているように見えます。

 ほかの産業界の人と話をすると、よく「KDDIは月額通信料をもらう事業だから安泰ですね」と言われるんですよ。ですが、これから日本の人口が減ってくるときに「1人当たりのお客さまとお付き合いする量」を増やしていけないと、企業としての発展がないことは明確です。だから、「通信を核にしながら、事業領域を広げて成長を担保する」ことは、僕が社長になってからの基本路線でした。

 具体的には、金融、エネルギー、コマース、エンターテインメントなど、お客さまが「通信」をベースにして広げることができる、ライフデザイン領域の全てを拡大したいと考えています。

 特に、この3年間で伸びたのは金融とエネルギーの分野です。金融業界はスマホベースの環境をつくるのに時間がかかっていました。そこに我々は通信を軸に金融を考えることで、携帯があらゆる行動の入り口となる「モバイル・セントリック」な金融を進めることができました。エネルギーや電力も、通信と同様にお客さまのライフスタイルに不可欠な領域なので、ひも付きやすく伸びたのだと考えています。

 この2つの領域以外にも伸ばしていくと心に決めている領域があり、それは来年にかけて中期経営計画で明確にしたものを発表する予定です。

米国でも、ユーザー目線のネオバンクが勃興して軌道に乗せているのを見ると、KDDIのような通信キャリアがライフデザインの領域に乗り出すことには、進化の余地を感じます。

 今の世の中で起こっていることが、実は僕らが目指している方向性をうまくサポートしてくれている気がするんですよね。最初は「人口が減っているのに通信だけだとやっていけないから、他の事業もやらなきゃいけない」くらいのイメージでした。でも、世の中がIoTだ、DX(デジタルトランスフォーメーション)だとなり、持続的成長企業を目指さなきゃいけないんじゃないかといってESG(環境・社会・企業統治)がうたわれるようになりました。これらの動きは、全部つながっていると感じるわけです。

 これまで、多くのビジネスは「一過性」のものだったと思います。お店でも商品でも、1回行って1回買って終わり、でよかった。しかし、コロナ禍のようなことがあると、一過性のビジネスは厳しくなってくる。だからみんな、持続的にお客さまとつながっていくためには何をすればいいんだろうって考え始めたと思うんですね。

 そう考えると、「我々がお付き合いするパートナーさんが持続的な事業を実現するために、我々を利用してもらう」といったところに勝機があるんじゃないかと、最近考えるようになったんです。

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