若手の人材教育はどう考えていますか。

 博報堂DYグループも以前は一度入社すると定年まで居る人が多い会社でしたが、今は「博報堂DYグループでキャリアを積み、30歳ぐらいになったら次の道を考えたい」という人も多いことをよく理解して採用しなくてはならないと思っています。必ずしも、終身雇用のためのつなぎ留めが必要だとは思わないし、辞めることが悪いとも思わない。若い人たちのキャリア観に合わせて、人事制度もつくり直さなくてはとトライアル(試行)しているところです。

(写真:的野弘路)
(写真:的野弘路)

若くても手を挙げた人がどんどんチャレンジできる仕組みですか。それとも、ある程度基礎を固めてからという方針でしょうか。

 博報堂DYメディアパートナーズの場合、新卒入社では最初の2~3年は全員にデジタルマーケティング、デジタル広告に触れてもらおうと、デジタル関連部署への配属を集中させています。今の時代、デジタルマーケティングの知識や経験があればどんな業界でも役に立ちますから。それにこういう運用型広告の経験は後からでは効果的に学べないこともあるのでね。

採用はどうですか。昔は広告業界といえば文系が多い業種だったと思うのですが、変化はありますか。海外のIT企業は、同じ新卒でもエンジニアは2~3倍の給料で採用することもありますが。

 まず、ダイバーシティー(多様性)でいうと、当社の2022年度の新卒採用は女性比率が4割を超えるくらいです。また、おっしゃるとおり、データサイエンティストを含め、エンジニアの採用を積極的にしています。テクノロジー系の採用に関しては、博報堂や博報堂DYメディアパートナーズの名前で募集してもなかなか集まりにくい部分もあるので、博報堂テクノロジーズという別会社をつくって、そこでエンジニアを集中的に採用して、各事業会社の開発に携わっています。

21年には、マス4媒体(新聞・テレビ・ラジオ・雑誌)の広告費を、インターネット広告費が初めて超えたと報道されました。ネット広告の勢いは止まらないでしょうが、このまま4マス媒体はなくなっていってしまうのでしょうか。また、同じネットでも、どのVR(仮想現実)やAR(拡張現実)のようなゲームの世界も盛り上がっていますし、メタバースも伸びるでしょう。どの分野に注目されていますか。

 これだけ変化の多い時代ですから、10年後のことは正直分からないけれど、今年大きく伸びるだろうと思うのは、ECのメディア化ですね。ネット広告は、検索エンジン広告から始まり、その後SNS(交流サイト)広告が成長してきましたが、今の先はECエリアが格段に伸びると思います。Amazonや楽天グループなど、ECを広告メディアとして活用する部分は、今年は新型コロナウイルス禍による生活様式の大きな変化を背景に一気に伸びるでしょうね。

 また、コロナ禍では、よいコンテンツが世界的にヒットする現象が起きました。それは音楽でも映像でもイベントでもそうなのですが、こういったよいコンテンツをマーケティングに活用したいというニーズは、逆ベクトルとして強まったと感じます。コンテンツに連動したプロモーション、コンテンツ自体も含めてSNSでバズらせながらブランドイメージをつくっていくような、「ブランドインテグレーション」がもっと伸びていくと思います。

 そうなると、コンテンツの重要性が鍵になります。ただ、キングコンテンツといわれるようなよいコンテンツはプロでないとつくれない部分があるから、そこにまたマーケティングのチャンスがあるのではないかと考えています。