だまされたくない、とは誰もが思うことではないでしょうか。だまされやすい人と、だまされにくい人には、話の聞き方にどういった違いがあるのでしょうか。
 本稿では、『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』より、詐欺師のだましの手口の項目を一部抜粋、編集し紹介します。

つじつまが合わない会話をそのままにしておくと、だまされる

 はっきり言っておかなければならないことがあります。それは、嘘はたいてい、お互いの共同作業であるという点です。

 そこには、嘘をつく人物と、自分の聞きたいようにしか聞かない人物が登場します。人は「自分はそんなのに引っかからない」と平気で言いますが、もし愛しているよとか、金持ちになれる、病気が治るなどと言われてしまったら、その言葉を信じたいあまりに聞く力がどれだけ損なわれてしまうか、まったく気づいていません。

 悪名高い詐欺師メル・ワインバーグ(映画『アメリカン・ハッスル』でクリスチャン・ベールが演じた役は、ワインバーグがモデル)は、嘘つきと聞き手の共同関係をとてもよく理解していました。だからこそ、FBIは1970年代後半、あるアメリカ上院議員と連邦議会議員6人を捕まえるため、「アブスキャムおとり捜査」にワインバーグを送り込んだのです。「人が苦境にいて金を求めていたら、希望を与えるのが私の哲学だ」と、ワインバーグは1982年、『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』に話しています。

 「自分にできることは何もない、と言ってしまったら、相手の希望を台なしにすることになる。だれにだって希望は必要だ。だからこそ、ほとんどの人は私らを警察に通報しないんだ。私らが言っていることは本当だと望み続けているから」

「嘘」はたいてい、お互いの共同作業だ(写真:PIXTA)
「嘘」はたいてい、お互いの共同作業だ(写真:PIXTA)
続きを読む 2/4 優れた聞き手は、だますのも、だまされていることを察知するのも上手

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