国:人手不足解消&人材流動化狙う

 国も副業人材に大きな期待を寄せている。これまで1つの企業内で囲い込まれていた人材が外に出れば、その人のスキルや知見は広がる。それは多くのナレッジを社会全体でシェアすることにつながる。それは回り回って社会全体の生産性向上につながる。人手不足解消の効果も期待できるだろう。

 企業の枠を超えて人材が行き来する副業は、雇用の流動性を担保する上でも重要な施策だ。特定分野に人材が偏ることなく、将来の成長分野へ労働移動が進むきっかけになる。収益性や生産性の高い成長分野は、賃金水準も高くなりやすい。日本経済が抱える大きな悩みのタネでもある、賃金がなかなか上がらない問題を解決する一助となる可能性もある。

副業可否の情報開示求める

 今年7月、政策サイドから副業推進に向けたさらなる後押しの動きがあった。厚生労働省は22年7月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改訂。企業に対し、従業員に副業を認める条件などの公表や、副業を制限する場合はその理由を含めて開示するよう促す文言を盛り込んだ。

 副業の可否についてはすでに就業規則で示している企業も多いが、厚労省の指針では、企業のウェブサイトでの公開を促している。外部の人や投資家などにも分かるような形にすることを求めた。罰則などの強制力はないものの、情報開示で副業のさらなる普及を目指す構えだ。

 これにより、働き手は勤め先を選択する際、副業のしやすさを判断材料にできるようになる。

 「副業」という注目の働き方を、自社の成長や価値向上に取り入れるために、企業がすべきことは何か。この特集連載では、先駆企業の事例も紹介していく。

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