少子化問題を克服するために日本の行政や企業が今からできることは何か。取材を踏まえ、国が縮む危機を皆が「自分ごと」にするための提言をまとめた。
■連載ラインアップ
・少子化は企業が止める 出生数が激減、国任せではいられない
・伊藤忠、働き方改革で出生率2倍 生産性向上と子育ての意外な関係
・「伊藤忠ショック」に意義 少子化を止めるカギは企業にある
・キリンは模擬体験、大成建設は夫にも研修… 育児支援に当事者目線
・第5子出産に祝い金500万円 産み育てやすい職場が人材呼び込む
・出生率上げたフランス、スウェーデンに学ぶ 日本はまだやれる
・パパ育休は男女役割意識を破るか 「日本は子育てしやすい」4割のみ
・出生率2.95が示す「奇跡の町」の教え 「社会の宝」はこう増やす(今回)
【提言1】子ども優先、受益者はあなた
7月のある日、化粧品会社ランクアップ(東京・中央)の新入社員、宮本哲司さん(22)は、退社する先輩社員と共にいつもより早くオフィスを出た。向かった先は先輩の自宅。午後8時まで、そこで先輩の1歳半になる子どもの世話や家事を体験する。
この日は幼児食を作って食べさせ、その後お風呂に入れた。安全に気を配りながら遊ばせている間に、料理をしたり片づけをしたりする「同時作業」も経験。座る暇もなく、あっという間の4時間だった。「親として責任を持って子どもを世話するのがこんなに大変とは知りませんでした」。宮本さんは大きな気付きを得た。
今年4月、ランクアップはこの「育児体験制度」を新設した。子育ての経験を持たない社員が「リアル子育て体験」を通じて、立場の違う社員への理解を深めたり、自身のライフプランづくりの参考にしたりするのが狙いだ。

ランクアップは社員の約4割が子どもを持つ母親。彼女たちの声を反映しながら柔軟な働き方を進め、子育てと仕事の両立を応援してきた。
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