日本の会社の中から長時間労働をなくすことには成功したものの、一部世代のモチベーションに負の影響を与えた可能性がある働き方改革。だが本を正せば、労働時間削減の最終目的は生産性の向上、ひいては日本経済の活性化を狙ったものであったはずだ。

 働き方改革後に労働時間の減少が目に見える形で表れたのは、厳しい罰則を伴う規制を課したからである。2019年4月1日に施行された「働き方改革関連法」は、長時間労働の是正や過労死の防止を目的とした“労働時間の管理の厳格化”に徹底的に力点が置かれた。その施行によって、これまで事実上青天井だった残業時間に対し罰則付きの上限規制が課され、労働者任せだった有給休暇の取得も年間5日は使用者が取得させるよう義務化された。

 同法施行を主導した当時の安倍晋三政権は「働き方改革こそが生産性を高める最良の手段」と訴えた。だが改革は本当に生産性にプラスの影響を与えたのだろうか。

 ここで改めて、生産性とは何かを考えてみたい。何かを作る時、それがモノであってもサービスであっても、設備や原材料、人間の労働力が必要だ。こうしたヒトモノカネの投入(インプット)と、生み出されたモノやサービス(アウトプット)の比率を表すのが生産性である。値が高いほど、効率よく生産できている状態を表している。

 働き方改革は主にマンパワー、いわゆる労働生産性の話をしているので、生産性の定義はアウトプット(モノやサービスの生産量)をインプット(労働時間×投入人数)で割ったもの、となる。

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