2016年に安倍晋三内閣が提唱した「働き方改革」から早5年。多様で柔軟な働き方を選べる制度改革が進み、職場は以前よりずっと働きやすくなった。だが、本当にそうだろうか。

 ちらほらと聞こえるのは、「思っていたのと違う」という若い転職者の声。転職市場では今どのような潮流が起きているのか。3人の覆面エージェントに語ってもらった。

覆面でエージェントに転職市場を語ってもらった(写真=shutterstock)
覆面でエージェントに転職市場を語ってもらった(写真=shutterstock)

本日は若手人材の転職状況に詳しい3人の人材紹介エージェントの方々にお集まりいただきました。働き方改革開始から5年がたち、多くの企業で「働きやすい環境」が整備されてきたと思います。若手人材の定着率やモチベーションに好影響はありますか。

エージェントA(以下、A):働き方改革を通じて、企業側では残業時間を抑えたり、有給を消化したりといった労働関連法を重視する動きが、大手中心に進みました。求職者側でも「ブラック企業に行きたくない」という動きは根強いです。多くの人が今の職場より残業時間の少ない企業を選びたいと考え、大手の安定していそうな企業に目が向きます。

増える「やりがいのない職場」

一方、働き方改革が定着しつつあった中で、技術進歩や新型コロナウイルスの感染拡大などいろいろな変化がありましたが、影響はどうでしょうか。

A:そこは大事なポイントです。昨今の時代の変化が大きい中で、製造業など「この企業に入れば安泰だ」といわれている企業も業績が悪く、リストラを始めたところもあります。技術的には人工知能(AI)が台頭し、ほとんどの仕事がAIに置き換えられるのでは、という危機感も出てきました。そこで、「楽だけど成長につながっていない」という環境に疑問を感じる求職者が増えてきました。若手のうちからどんどん仕事をして早く成長したいという人が「18時に帰れ」と言われると、「もっと仕事をしたいのに抑制がかかっている」と感じることもあります。大手企業から、ベンチャーやスタートアップへ転職するなど、あえて成長環境を志向するような若手も増えています」

続きを読む 2/5 「ゆるブラック」に反感

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