時代は「働きがい改革」へ

企業側は「働きやすさ」への対応を進めていると思いますが、「働きがい」ヘの対応はどうなのでしょうか。

A:成長機会の提供については、取り組み具合が二極化しています。IT・web系の企業は進んでおり、例えばサイバーエージェントのように、若いうちから社長を任せたり、失敗してもチャンスをもらえたりするような会社もあります。一方製造業や小売り、インフラ系は全体としては遅れている印象ですが、その中で、イオンやセブンーイレブン・ジャパンのように小売りでもデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進している企業もあります。メーカー側でもIoTの流れを受けて事業再編をしたり、「ぶら下がり」社員を減らすための仕組みを作ったり、部門ごとに採算性を可視化し、うまくいっている事業かどうか、ちゃんと評価できる仕組みを作ったりしている企業もあります。

 リーマン・ショック以降、転職市場の回復とともに口コミサイトが盛り上がり、8~9割の求職者が口コミを参考にしているようです。「闇残業」の有無みたいなものを見極められるし、活用しない手はないのではないでしょうか。

今後の働き方改革はどうあるべきでしょうか。

A:米国の心理学者、フレデリック・ハーズバーグの「衛生要因・動機付け要因」の理論が本質を突いています。まず働き方改革を進めていくことで健康に生活ができるようにするのは重要です。働きやすさを常識の範囲内にしていくことで、社員の不満を抑える効果があります。なかなか減らなかった残業時間を減らすという意味で、一定の規制には意味があります。

 一方、社員がどれだけ能力を発揮できるかという点では「働きがい」が重要です。働きやすさだけを重視しているだけでは生産性は高まりません。社員に裁量や責任を持たせて適切に評価することが重要です。労働時間が長くて裁量がないのは一番ストレスが大きいですが、労働時間が長くて裁量も大きいと、ストレスが少なかったりする。今後の働き方は、裁量が一つのカギになってくると感じます。働き方改革においても、軸を『働きがい』にシフトする必要が出てくるのではないでしょうか。

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