日本の大企業はこれまで、新人入社後に一通りの全体研修をすると各部署に配属し、実践的な研修を現場 のOJT(職場内訓練)に任せてきた。だが、自分らしさへのこだわりが強いZ世代を、先輩の価値観が染みついた現場にいきなり放り込めば、人間関係やカルチャーになじめずに辞めかねない。新人の成長が配属先の繁閑や先輩の力量などに左右される、いわゆる「配属ガチャ」「上司ガチャ」の背景にもなっており、OJT任せの新人研修を見直す動きが出てきた。

■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
(1)働くZ世代のトリセツ “金の卵”を理解する5つのキーワード
(2)社長とLINE感覚で意見交換 住友化学のZ世代に響く新人研修
(3)さらば「配属ガチャ」 OJT任せの新人研修に見直しの動き(今回)
(4)働くZ世代のオンライン座談会 「本当は上司に理解されたい」
(5)「自然体で自分のことを話せる職場づくりを」 識者に聞く

 木材倉庫をリノベーションした東京・新木場エリアのカフェ店内で、2人のNTTデータの新人社員が客に飲み物を配膳していた。新人研修の一環として、顧客であるカフェの業務を理解するために働いているのだ。研修生には「カフェの売り上げ向上」というミッションが与えられ、チームはそれぞれの戦略やスタイルを立て、クライアントであるカフェに提案を行う。

昨年カフェで研修を受けた長曽我部さん(左)と渡部さん(写真=陶山勉)
昨年カフェで研修を受けた長曽我部さん(左)と渡部さん(写真=陶山勉)

 入社2年目の長曽我部渉さんと渡部和泉さんも昨年、このカフェで研修を受けた。入社後最初のミッションでカフェに派遣された長曽我部さんのチームは、数日間カフェで働いてクライアントの業務内容の理解に努め、その後は店内のシステムづくりや人流調査などに取り組んだ。 当初、ミッションの大きさに驚いたが、「裁量が大きいからこそ創意工夫できた」と話す。渡部さんも「配属後に生かせるスキルをチームで学べた」と振り返る。

人事部主導でチーム研修

 2人が働くNTTデータのITサービス・ペイメント事業本部は2020年、入社した新人の半数に対して、現場のOJTに代わって人事部主導の実践的な新人研修を開始。翌21年から始めた、残り半数の新入社員を対象とする「本部内インターンシップ」では、新人5人ずつで6チームをつくり、計1年間の期間中、各チームが3カ月ごとに異なる研修先でのミッションに取り組む。カフェの他に、不動産のSUUMOカウンターのアバターサポートや無人コンビニの店舗立ち上げなどが研修内容となる。

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