生産年齢人口の減少に伴い、人手不足感がますます高まる日本。優秀な人材をつなぎとめるためにも、働きやすい職場づくりは企業にとって喫緊の課題だ。とりわけ、出産や育児などでライフスタイルが大きく変わりやすい女性を多く抱える化粧品業界では、より柔軟な働き方が求められる。

 コーセーとて、それは例外ではない。目指すのは、1人ずつが実力を発揮できる環境の実現を通して、仕事に対するモチベーションを高めること。2017年度に「働きがい創出実行委員会」を立ち上げて以降、制度の整備や風土改革を進めている。これまでも、男性の育児休業取得を促進するための「イクパパサポート制度」や、働く時間帯に制約のない「スーパーフレックス制度」などを導入してきた。

 中でも、同社で化粧品の販売を担うビューティーコンサルタント(BC)に対する施策には力を入れている。BCは百貨店やドラッグストア、化粧品専門店などで働く。接客を通して自社商品の良さや最適な使用方法を伝える重要な業務を担うが、これまでは働きやすい職場とはいえなかった。多くの店舗が土日も営業しているため、週末出勤は当たり前。勤務時間も不定期であることが多い。そのため、結婚や出産を機に辞めてしまう人が少なくなかった。2021年12月末時点のBCの離職率は8.3%。管理職・一般職の3.4%や総合職の6.9%よりも高い傾向にある。

 その一方で、コーセーの業績は好調だった。新型コロナウイルス禍前まではインバウンド(訪日客)効果などもあり、2019年3月期の売上高は3329億円。7年前(12年3月期)の約2倍まで伸びている。だが、販売の現場は人手が足りず多忙を極め、多くのBCはモチベーション維持に苦労していた。

2011年3月期から東日本大震災翌年の12年3月期は厳しさが残ったものの、その後回復。16年ごろからインバウンドの影響でさらに業績が上向いた。
2011年3月期から東日本大震災翌年の12年3月期は厳しさが残ったものの、その後回復。16年ごろからインバウンドの影響でさらに業績が上向いた。

 会社側が何もしなかったわけではない。14年にはBCのほぼ全員、約4000人を正社員化するなど活躍推進策を導入している。正社員化の対象となったBCは、企業年金に加入できるほか、賞与額も増えた。休職期間の延長もできるようになった。

 処遇は良くなっているはずなのに、離職率が改善しないのはなぜなのか――。検討の結果、19年に導入したのが、目標や貢献に応じて賃金を増大させる制度の導入だ。

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