これからの人生100年時代において、50歳はまだ折り返し地点にすぎない。黄昏(たそがれ)の始まりとみるか、新たな夢を追う出発点とみるかは本人次第。今回から50歳前後で新たなキャリアを選んだ「ライフシフター」たちの実例を見ていこう。
■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
・くすぶるな50代 ミドルと会社すれ違い、継続雇用イヤ7割
・グーグルなどリスキリングで連携 育てイノベーション人材50万人
・ブリヂストンやみずほ、ミドルを磨く 越境学習や兼業で経験開花
・元富士通SEはビール造りに手応え ライフシフトで夢に挑む50代(今回)
・故郷の町おこしに奮闘する元電通マン 古巣や元同僚が挑戦を後押し
・50代で起業塾の門たたく 更年期の女性支援、働き続けて社会に恩返し
・ライフシフトの出発点は自分発見 悩むミドルの心のブレーキを探る
・赤坂の紫乃ママが説くミドルのスキル 生涯現役へ人の輪を広げよ
・「物価上昇」知る50代の活躍、消費活性化にも意義 識者に聞く
「いつか家族で海外に移住したい」。そんな夢をかなえつつあるのが、外国人向け料理教室運営、わしょクック(相模原市)社長の富永紀子さん(53)だ。会社員を続けながら休日を利用した「週末起業」で事業を始め、約3年にわたる兼業状態の間にライフシフトを進めてきた。
わしょクックでは国内在住の外国人に、家庭料理を中心に和食の作り方を教えている。外国人に和食を教える「認定講師」の育成も手掛ける。

富永さんは、カネボウホームプロダクツ(現クラシエホームプロダクツ)でキャリアをスタート。その後も日本ロレアルやスイスのガルデルマなど化粧品や医薬品の会社をマーケターやブランドマネジャーとして渡り歩いた。その傍ら、海外への憧れも捨てきれずにいた。中高生の頃にホームステイが流行し、周りの友人らは海外生活を経験したのに、自分は行かせてもらえず一種のトラウマになっていた。
夢が決意へと変わったのは、日本ロレアル時代に訪れたニュージーランドでのこと。ある現地人宅で出された家庭料理がきっかけだ。家庭料理を囲むことで会話が弾み、笑みがあふれる。温かな家庭の雰囲気が胸に深く刻まれた。「家庭料理なら日本は世界でもピカイチ。それを世界に広める仕事がしたい」。思い出の地となったニュージーランドで、10年後に事業化する意思を固めた。
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