5月の大型連休も終わり、日常生活が戻ってきた。程度の差こそあれ、誰もが4月から始まった新しい職場や仕事への気持ちが途切れやすくなる季節である。気分が落ち込んだり、仕事に対するやる気が出なかったりする「5月病」にかかってしまう人もいるだろう。とりわけ、4月から職場の仲間入りをした新入社員が周囲にいる人は、彼らに対する配慮も必要となってくる。

 現在社会人1~3年目となる若者たちは、Z世代と呼ばれる1990年代後半から2000年代に生まれた世代である。2000年前後に社会人となった現在30~40代のミレニアル世代や、さらにその上の上司世代とは考え方や行動の仕方もかなり異なる。自身のメンタルヘルスに敏感で、問題を抱えやすいともいわれている。Z世代にも5月病の影響はあるのだろうか。新人・若手育成の手法に詳しい、リクルートマネジメントソリューションズの桑原正義主任研究員に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス編集 馬塲貴子)

私自身、Z世代ど真ん中なのですが、これまでの人生で上の世代の方からZ世代について「甘やかされている」「ひ弱」といったイメージを持たれることが多いと感じています。Z世代としてはあまりうれしい言葉ではないのですが、実際にメンタルが弱い傾向はあるのでしょうか?

桑原正義・リクルートマネジメントソリューションズ主任研究員(以下桑原氏):そうですね。弱いというよりも、これまで挫折や失敗した経験が少ないからだと思います。1990年代後半はすでに少子化が顕在化していましたから、彼らはとても大事に育てられた世代ともいえます。

 教育現場での変化が、それを端的に示していると思います。人と比べない、自分らしさを生かすことが尊重され、競争はさせないといった考えが主流になりました。「嫌なことを無理にさせるよりも、やりたいことを支援しよう」「短所を克服するだけでなく、長所を伸ばすのも大事だ」となったわけです。従って、叱られて失敗しながら成長するという体験をする機会が少なくなっています。また、大人たちが先回りしてリスクを排除し、安全な環境の下で遊んだり、勉強したりするのも当たり前となりました。

 スマホやSNS(交流サイト)の普及も大きな影響を与えています。自分好みにカスタマイズされた情報が比較的容易に手に入るようになりました。知らないことがあっても検索窓に単語を打ち込めば、自分で考えるよりも良質な情報に自由にアクセスできます。従って「答えのない問題」に直面する機会が少ない。

桑原正義(くわはら・まさよし)・リクルートマネジメントソリューションズHRDサービス開発部主任研究員
桑原正義(くわはら・まさよし)・リクルートマネジメントソリューションズHRDサービス開発部主任研究員
1992年人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ) 入社。営業、商品開発、マーケティングマネジャー、コンサルタント職を経て 2015 年より現職。新人若手育成を専門領域とし、10 年以上のコンサルティング経験を土台に、これからの時代の育成や学習手法の研究開発に取り組んでいる。立教大学経営学部兼任講師。NPO法人青春基地にプロボノ参加中。(写真:陶山 勉)

Z世代の読者の方からは「ひとくくりにしないでほしい」という声もあるかもしれませんが・・・・・・。つまり、社会人になって挫折を経験するから、Z世代の新人は5月病にかかりやすいということなのでしょうか?

桑原氏:いえ、私は新しい環境になじめず5月病にかかってしまう新人はむしろ以前よりも減ってきていると考えています。なぜなら、企業側が新人受け入れを一生懸命やるようになったからです。

 5~6年前までは、配属前の研修が終わると「じゃあ、あとは配属先で頑張ってね」と、いうスタイルが主流でした。それでもって配属先に行くと、仕事の難しさや上司との相性など、さまざまな現実問題に直面し、悩みふさぎ込んでしまう。

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