東証プライム上場企業の女性社内役員が全体の2%未満という数字が示すように、日本企業には女性の昇進を阻む「ガラスの天井」がなお歴然と存在している。リーダー層で女性が増えなければダイバーシティーを果たしたとは言えず、男女の賃金格差が解消されることもない。女性リーダーの育成で重要なのは、上司や幹部が自らの役目として女性のキャリアアップ意識に火を付けることだ。

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 日本で今、昇進を果たしてリーダーになった女性はどれくらいいるのだろうか。内閣府の資料では、22年7月末時点の東証プライム上場企業の取締役、監査役、執行役の女性比率は11.4%。女性の少なさが一目瞭然の数字だが、これには近年急増している女性社外取締役が含まれている。内部昇格するなどした女性社内役員に限定すると、全体の2%未満にとどまる。

 実数で見ると、全国に2万1521人いる役員のうち、女性社内役員は346人にすぎない状況だ。

 女性社外取締役も多様性の観点で重要だ。ただ、ビジネスの最前線での活躍が評価されて社内役員に上り詰める女性が増えなければ、本当の意味で企業の競争力強化につながらない。また相対的に報酬額の多い役員の男女比率が近づくことが賃金格差解消の条件でもある。

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