NTTでは今、グループの約4万人が「勤務場所は社員の自宅」として働いている。新型コロナウイルス禍をきっかけにリモートワーク推進に大きくかじを切り、育児との両立に焦りや不安を抱えながら働いてきた女性社員の労働環境は劇的に改善した。オフィスにかじりついて長時間労働する男性ばかりでは会社を取り巻く変化から取り残される――。競争環境の激しさが企業に価値観の転換を促し、女性が活躍する道が大きくひらけてきた。

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 NTTでダイバーシティ推進室の室長を務める池田円氏の働き方は一昨年の秋以降、大きく変わった。新型コロナウイルス禍を契機に、同社は「リモートワーク」を基本的な働き方として徹底するなど、グループを挙げて新しい働き方を推進する方針を掲げた。出社する機会は激減し、育児や家事との両立が格段に楽になった。食事の準備や子どもの学校の送り迎えを挟んで仕事ができ、子どもの習い事にも付き添える。

リモートワークが定着したことでNTTの池田円室長は子どもと過ごしながら仕事ができるようになった
リモートワークが定着したことでNTTの池田円室長は子どもと過ごしながら仕事ができるようになった

 リモートワークが定着する以前の池田室長は常に慌ただしく、焦りや不安もあった。職場から帰るのは保育園の迎え時間ギリギリ。間に合わずに自治体のサポートサービスを使ったり、ベビーシッターを雇ったりすることも。活躍の機会が失われることを懸念し、育児休業も半年で切り上げた。

 育児・家事との両立に忙殺され、将来のキャリアに不安を感じながら働く女性はまだまだ多い。「女性は男性の2倍も3倍も働かなければ評価してもらえない」(連合の芳野友子会長)という企業も少なくない。

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