自分がゲイというのは、いつから感じていたのでしょうか。

 小学校のときからもう、分かっていました。『キン肉マン』に「オカマラス」っていうキャラクターがいて、当時、私のしぐさが女の子っぽかったから、オカマラス、オカマラスとからかわれていました。

 多少は同級生から嫌なことをされたんでしょうけど、あんまりいじめられたという記憶もない。女の子の友達がいっぱいいたから、「女ったらし」って思われていたのかもしれない。バレンタインデーにはかなりのチョコレートをもらいました。

 ただ、高校生になって、好きになるのは男の子。私ちょっと特殊かもしれない、と。

その後、大学進学を機に兵庫県から大阪へ上阪しました。

 18歳のとき、大学入学を機に兵庫県から大阪府に出てきて、一気にゲイライフが花開きましたね。

 当時はSNS(交流サイト)なんてないから、出会う術は文通だった。文通で出会った人に、ゲイが集まる店に連れて行ってもらって、ママにスカウトされてゲイバーで働き始めました。居心地が良くて、その後、18年間働きました。田舎にいたときは全然知らなかったけど、めちゃくちゃイケメンのゲイもいるし、すごく視野が広がった。

 私はゲイだからという理由で生きづらさを感じたことはなくて、水商売のしんどさのほうをよく覚えている。ゲイバーには同じ境遇の仲間がいて、友達もゲイで、休日もゲイの人と遊んでいた。

 一方、バーを訪れるゲイのお客さんは会社ではひた隠しにしていた人が多かったから、ゲイバーでは発散していましたね。おっさんが(松田)聖子ちゃんを歌ったり、ね。お客さんからは「当時は結婚してないと出世できない」と嘆く声も聞いたし、会社終わりに風俗へ誘われるのが嫌、というのも聞いていた。

 今の人も生きづらい部分はあるのかもしれないけど、昔は市民権すらなかったから、仲間を探すことも難しかった。今はだいぶLGBTQ+の市民権が得られているように感じていますが、トランスジェンダーに続く、「Q+」以降については知識がない人が多くて、分かってもらいにくいという問題もあるんじゃないかな。