ドラァグクイーン(女装家)として活躍するナジャ・グランディーバさん。30年以上も家族にLGBTQ+であることを隠していました。家族に打ち明けたきっかけはテレビ出演。「カミングアウトはファッションじゃない」と言うわけとは。
現在、ドラァグクイーンとしてテレビ番組などに出演されています。カミングアウトを含め、いつからドラァグクイーンとしてやっていく、と覚悟を決めていたのでしょうか。
ドラァグクイーンとしてやっていくというのに、覚悟みたいなのはなかった。女装はファッションショーみたいで楽しいと思ってやっていましたし。
決めないといけなかったのは、「ドラァグクイーンとしてテレビに出ます」というのを親に言うこと。それが10年くらい前の話ですね。私は自分がゲイであることを36歳まで、親に言っていなくて、長いこと隠していました。

ゲイバーやイベントでドラァグクイーンとして出ていたのをきっかけに、毎週水曜日のレギュラー番組に出てほしいと知り合いから頼まれました。女装でテレビに出るならば、親に言わなきゃ、と。
電話に出た母からは「田舎でお米屋さんをしているし、ゆっくり穏やかに過ごしたい。子どもがオカマで出ていると思われると商売をやりにくいから、やめて」と返ってきた。そのときは「お母さんがそうなら、相談します」と言って電話を切りました。確かに田舎はご近所づきあいが大事だから仕方がないな、と。
翌日、母から電話がかかってきて「あんたの好きにしていいです」と。家族会議か、はたまた父と話をしたのかもしれない。私のカミングアウトはこの2日間だけでした。小さいときからオカマっぽいと言われていたし、部屋に隠していたゲイ雑誌にも母は気づいていたんでしょう。1回目は反対したけど、次の日に賛成してくれた。親も応援してくれたし、だからこそ、やるからには精いっぱいやろう、と決めました。
私の場合、この格好でテレビに出るという仕事をしてなかったら、一生、親に言ってなかった。最近ではカミングアウトする人は多いけど、むやみやたらにするのには反対かな。
ファッションではない、と。
そやね。自分はこうだと表現するのをかっこいいと思う人がいますが、私はあんまりしなくていいと考えています。自己満足な気がする。だって、家族には傷付く人もいるから。私が仮にサラリーマンなら一生言わないでいて、それだったら親も「ずっと女の子と縁がないから独身なのかな」と思っていたでしょうから。
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